所得税の計算において、最後に税額を大きく減らせる仕組みがあります。
それが「税額控除」です。
所得控除が「課税所得を減らす」ものだったのに対し、税額控除は「計算された税金から直接引く」もの。節税効果が所得控除よりもダイレクトに大きいのが特徴です。
私自身、
・住宅ローン控除
・配当控除
・外国税額控除
の3つの税額控除を実際に使ってきました。
特に住宅ローン控除は、控除期間を使い切った結果、トータルで100万円以上の節税になりました。
この記事では、税額控除の仕組み・主な種類・所得控除との違いを、FPの視点と実体験を交えてわかりやすく解説します。
税額控除は「計算した税金から直接引ける」最強の節税制度。住宅ローン控除・配当控除・外国税額控除の3つが、会社員・投資家にとって特に重要です。
税額控除とは?
税額控除とは、計算された税額(所得税)から直接差し引くことができる控除です。
所得税はどうやって計算される?
所得税は4ステップで計算されます。
この記事で解説するのはSTEP4「税額控除を差し引く」の部分です。

所得税は4ステップで計算されます。所得控除はSTEP2で「課税所得を減らす」もの、税額控除はSTEP4で「税額そのものを減らす」もの。税率をかけた後に直接引けるため、税額控除のほうが節税効果がダイレクトに大きいのが特徴です。
▼ STEP1(所得)の解説はこちら

▼ STEP2(所得控除)の解説はこちら

▼ STEP3(課税所得と税率)の解説はこちら

所得控除と税額控除は何が違う?
下の図と表で、所得控除と税額控除の違いを整理します。図では節税効果の差を、表では仕組みの違いをまとめています。

同じ「10万円控除」でも、所得控除は税率10%なら節税1万円にとどまるのに対し、税額控除は10万円がそのまま節税になります。税額控除が「最強の控除」と呼ばれる理由がここにあります。
| 所得控除 | 税額控除 | |
|---|---|---|
| 何を減らす? | 課税所得(税率をかける前) | 税額そのもの(税率をかけた後) |
| 節税効果 | 間接的(税率の分だけ減る) | 直接的(引いた分そのまま減る) |
さやか「所得控除で10万円引いても、税率10%なら節税は1万円。でも税額控除で10万円引いたら、そのまま10万円の節税ってことか」



「その通りです。だから税額控除は”最強の控除”と言われるんです」
会社員・投資家が使える税額控除は?
税額控除にはいくつかの種類がありますが、会社員・投資家に特に関係が深い3つを紹介します。
それぞれの詳細は別記事で深掘りしますので、ここでは仕組みの概要と私の体験をお伝えします。
① 住宅ローン控除とは?
住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合に、年末のローン残高に応じて税額から控除される制度です。
2024年以降に入居した場合、控除期間は最長13年、年末のローン残高の0.7%が毎年の控除額になります(国税庁「住宅借入金等特別控除」より)。
たとえばローン残高が3,000万円なら、3,000万 × 0.7% = 年間21万円の税額控除。これが13年続くので、トータルの節税効果は非常に大きいです。



「私がマンションを購入した理由のひとつが、この住宅ローン控除の恩恵を受けるためでした。控除期間をすべて使い切った結果、トータルで100万円以上の節税になりました」
正直、住宅ローン控除がなかったらマンション購入の判断はもっと慎重だったと思います。
「税金から直接引かれる」という実感は、所得控除とはまるで違いました。年末調整で還付された金額を見たときの「こんなに戻ってくるの?」という驚きは、今でも覚えています。
② 配当控除とは?
株式の配当金を「総合課税」で申告した場合に、配当金の一定割合を税額から控除できる制度です。
通常、上場株式の配当金には20.315%(所得税15.315%+住民税5%)の税金がかかります。総合課税を選択して配当控除を使うことで、実質的な税負担を下げられる場合があります。
ただし、課税所得が高い人は総合課税よりも分離課税のほうが有利なケースもあるため、自分の課税所得に応じた判断が必要です。



「私も配当控除を使っていますが、正直かなり複雑です。総合課税と分離課税のどちらが有利かは、課税所得の水準によって変わります。この判断方法は別記事で詳しく解説しますね」
③ 外国税額控除とは?
海外の株式や投資信託に投資している場合、配当金に現地の税金がかかることがあります。
たとえば米国株の配当には、アメリカで10%の源泉徴収がされた上に、日本でも20.315%の税金がかかります。これは二重課税の状態です。
外国税額控除は、海外で支払った税金を日本の所得税から差し引くことで、この二重課税を調整する仕組みです。



「私も海外株に投資しているので外国税額控除を使っています。確定申告で申請する必要がありますが、二重課税のまま放置するのはもったいない。詳しいやり方は別記事で解説します」
その他にどんな税額控除がある?
上記3つ以外にも、以下のような税額控除があります。
・政党等寄附金税額控除
・認定NPO法人寄附金税額控除
・試験研究を行った場合の税額控除
これらは対象者が限られるため、多くの会社員にとっては上記3つを押さえておけば十分です。
税額控除で気をつけることは?
・税額控除にも上限額がある
(住宅ローン控除は借入額・所得に上限あり)
・確定申告が必要なケースが多い
(配当控除・外国税額控除は確定申告必須)
・制度ごとに条件が細かいので、自分が該当するか確認が必要



「確定申告しないと使えない控除もあるんだ…」



「はい。住宅ローン控除は初年度だけ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整でOKです。でも配当控除と外国税額控除は毎年確定申告が必要。手間はかかりますが、その分だけ税金が直接戻ってきます」
▼ 確定申告の全体像はこちら


税額控除はどれくらい節税できる?(みるの体験)
所得控除と税額控除、両方を使ってきた立場から言えるのは、税額控除の節税効果は体感がまったく違うということです。
所得控除は「課税所得を減らす」ので、節税効果は税率を通して間接的に現れます。「効いてるのかな?」とやや実感しにくい。
一方、税額控除は税金そのものから直接引かれるので、年末調整や確定申告で「この金額が戻ってきた」とはっきりわかります。
特に住宅ローン控除を使い切った今、あの10年間でどれだけ助けられたかを実感しています。トータルで100万円以上が税金として戻ってきた計算です。
税額控除は使える人が限られますが、該当するなら絶対に使うべき制度です。
税額控除に関するよくある質問
- 所得控除と税額控除はどちらが得?
-
節税効果は税額控除のほうが大きくなります。所得控除は「課税所得」を減らすため税率分しか税金が減りませんが、税額控除は税金そのものを直接減らせるためです。たとえば10万円の控除でも、所得控除(税率10%)なら節税1万円、税額控除ならそのまま10万円の節税になります。両方使える場合は両方使うのが基本です。
- 税額控除を受けるには確定申告が必要?
-
制度によって異なります。住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必要で、2年目以降は年末調整で完結します。一方、配当控除と外国税額控除は毎年確定申告が必須です。手間はかかりますが、その分だけ税金が直接戻ってくるので申告する価値は十分あります。
- 住宅ローン控除はいつから何年使える?
-
2024年以降に入居した場合、控除期間は最長13年間、年末ローン残高の0.7%が税額から控除されます。それ以前に入居した方は契約時の制度(最長10年・1.0%等)が適用されます。入居時期によって制度内容が変わるため、自分の入居年の条件を国税庁サイトで確認することが重要です。
まとめ
税額控除は、税金を直接減らすことができる「最強の控除」です。
・所得控除 → 課税所得を減らす(間接的)
・税額控除 → 税額を直接減らす(直接的)
この違いを理解するだけで、節税の考え方は大きく変わります。
会社員・投資家が押さえておきたい主な税額控除は3つ。
① 住宅ローン控除
→ マイホーム購入者向け。
2024年以降の入居は最長13年・残高×0.7%
② 配当控除
→ 株式投資で配当を受け取っている人向け
③ 外国税額控除
→ 海外株に投資している人向け



「税額控除は”知っている人だけが使える最後の武器”です。確定申告の手間はかかりますが、その分だけ税金がダイレクトに戻ってきます」
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