「配偶者や子どもを社会保険の扶養に入れると、保険料がゼロになる」
と聞いたことはありますか?
社会保険の扶養制度は、条件さえ満たせば家族の医療保険・年金を追加負担なしでカバーできる、非常に有利な制度です。
しかし、収入の壁・手続きのタイミング・将来の年金への影響など、知らないと損する落とし穴も多く存在します。
この記事では、社会保険の扶養の基本から条件・メリット・デメリット・よくある注意点まで、わかりやすく解説します。
- 家族を扶養に入れるか迷っている方
- パート・アルバイトで働く配偶者の収入が増えてきた方
- 育休・産休明けに社会保険の扱いを確認したい方
- 転職や独立で家族の保険をどうするか考えている方
- 社会保険の扶養と国民健康保険の違いを知りたい方
社会保険の扶養とは?
社会保険の扶養(正式には被扶養者)とは
会社員や公務員に養われている家族が
自分で保険料を払わずに健康保険や厚生年金の恩恵を受けられる制度です。
健康保険組合や協会けんぽに届け出ることで
認定されます。
社会保険の扶養には大きく2つの側面があります。
被扶養者として認定されると、保険料の追加負担なしに医療費の自己負担(原則3割)が適用されます。
傷病手当金・出産育児一時金なども給付対象になる場合があります。
配偶者(20〜59歳)が扶養に入ると、国民年金の「第3号被保険者」となり、保険料を払わずに老齢基礎年金の受給資格期間を積み上げることができます。
扶養に入れる家族の範囲(対象者)
健康保険の被扶養者として認められる家族の範囲は、健康保険法で定められています。
戸籍上の配偶者はもちろん、内縁関係の配偶者も対象になります
(組合により確認書類が必要)
扶養に入るための条件(収入要件)
扶養認定には、家族の収入が一定額以下であることが必要です。
収入の種類によって基準が異なります。
| 区分 | 年収の上限(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 原則(60歳未満) | 130万円未満 | 月額換算で約108,333円未満が基準 |
| 60歳以上・障害者 | 180万円未満 | 年金収入も含めて判定 |
| 被保険者との収入比較 | 被保険者の年収の1/2未満 | 同居の場合に追加要件として適用 |
社会保険の加入義務(106万円の壁)との違い
2024年10月以降、従業員51人以上の企業では、
以下の条件をすべて満たすパート・アルバイターは自分で社会保険に加入する義務が生じます。
この場合は扶養から外れます。
- 月収 88,000円以上
- 週20時間以上勤務
- 2ヶ月超の雇用見込み
- 学生でないこと
扶養に入るメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 保険料の節約 家族分の健康保険料・国民年金保険料がゼロになる(世帯で大幅な節約効果) 医療費の保障 病気・ケガの際に健康保険が適用され、医療費の自己負担が3割に抑えられる 年金の受給権 配偶者は第3号被保険者として老齢基礎年金の受給資格が積み上がる 手続きが簡単 勤務先を通じた一本化した手続きで複数の保険をカバーできる 出産・傷病給付 加入している健康保険組合によっては出産育児一時金等の給付を受けられる | 収入制限がある 130万円(または106万円)の壁を超えると扶養から外れ、自分で保険料負担が発生 将来の年金が少ない 第3号の期間は基礎年金しか受け取れず、厚生年金の上乗せがない 手続きの煩雑さ:収入が変わるたびに勤務先への報告・変更届が必要 収入増加時のデメリット 扶養を外れた直後は保険料負担増で手取りが一時的に減る可能性がある 組合によって認定基準が異なる 健康保険組合ごとにルールが異なり、確認が必要 |
社会保険の扶養 vs 国民健康保険
扶養から外れた場合、国民健康保険(国保)への切り替えが必要です。
どちらが有利かは状況によって異なります。
| 項目 | 社会保険の扶養 | 国民健康保険 |
|---|---|---|
| 保険料 | 被扶養者は無料 | 前年所得に応じて世帯単位で発生 |
| 国民年金 | 第3号(配偶者)は保険料なし | 第1号として月約16,980円(2024年度) |
| 給付内容 | 医療3割負担、出産育児一時金など | 医療3割負担(同等) |
| 傷病手当金 | 健康保険組合により給付あり | 原則なし |
| 加入手続き | 勤務先経由 | 市区町村窓口 |
| 収入制限 | あり(130万円など) | なし(所得に応じて保険料が上がる) |
扶養に入る・外れる手続きの流れ
扶養に入る場合(認定)
続柄確認書類(戸籍謄本など)・収入確認書類(源泉徴収票・確定申告書・非課税証明書など)
被扶養者(異動)届を会社の総務・人事部門に提出。事由発生から原則5日以内が目安
認定後、被扶養者用の健康保険証(またはマイナ保険証)が交付されます
扶養から外れる場合(削除)
収入が基準を超えた場合・就職した場合・離婚した場合などは
速やかに勤務先に報告して削除手続きを行う必要があります。
手続きが遅れると保険給付の返還を求められるケースもあります。
よくある注意点・落とし穴
収入が見込みで判定される場合も
認定時点の「年収見込み」で判定されるため、月収が連続して108,333円を超える見込みになった時点で扶養から外れる必要があります。
年末に「年間合計が130万円以下だった」と気づいても遡って認めてもらえないケースがあります。
副業・フリーランス収入も含まれる
給与だけでなく、業務委託収入・不動産収入・FX・株の譲渡益(継続的な場合)なども収入として合算されることがあります。
健康保険組合ごとに判定方法が異なるため、必ず確認を。
第3号期間は厚生年金が増えない
配偶者として扶養に入っている期間(第3号)は、老齢基礎年金の受給期間は増えますが、老齢厚生年金は増えません。
長期的な老後資金の観点では、自ら厚生年金に加入して働く選択肢も検討価値があります。
扶養から外れた後のタイミングに注意
扶養から外れた翌日から14日以内に国民健康保険への加入手続きが必要です。
手続きを怠ると無保険期間が生じ、医療費が全額自己負担になることがあります
まとめ
- 社会保険の扶養に入ると、家族分の健康保険料・国民年金保険料がゼロになる大きなメリットがある
- 認定の条件は年収130万円未満(60歳以上は180万円未満)が基本。企業規模によっては106万円の壁もある
- 収入が増えた場合は速やかに勤務先に報告し、手続きを行うことが重要
- 扶養期間中は厚生年金が増えないため、将来の年金設計も合わせて考えることが大切
- 健康保険組合ごとに認定基準が異なるため、詳細は勤務先の担当部署や組合に確認しよう
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