ぎゅうた年金も、FXも、ぜんぶ「雑所得」って言われて混乱しるよ…全部おなじ扱い?



名前は同じ「雑所得」でも、中身は3つのグループに分かれています。今日は“自分の収入がどれか”と“確定申告がいるか”を、迷いやすい順番に整理しましょう。
「雑所得」は、所得税の10種類のうち、ほかの9種類のどれにも当てはまらない所得の総称です。副業・公的年金・FX・暗号資産など、性格のちがう収入がここに集まります。
この記事では、1級FP技能士が令和7・8年分のルールにもとづいて、雑所得の正体・計算・確定申告の境目を初心者向けにやさしく整理します。所得10種類シリーズの“最後のピース”です。
雑所得は「公的年金等」「業務(副業)」「その他」の3つ。会社員は給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要です。赤字でも他の所得と相殺できない点が、事業所得との大きな違いです。
雑所得とは?
10種類のなかでの位置づけ
ほかの9種類に当てはまらない「受け皿」
所得税は、収入の性格に応じて所得を10種類に分けています。利子・配当・不動産・事業・給与・退職・譲渡・山林・一時、そして雑所得です。雑所得は、最初の9つのどれにも当てはまらない所得の“受け皿”で、原則は総合課税(ほかの所得と合算して税額を計算)になります。


雑所得は3つに分かれる
雑所得は、中身で3つのグループに分かれます。
①公的年金等
②業務(副業)
③その他
グループごとに計算式がちがうので、まず自分がどれに当たるかを押さえるのが近道です。
| 分類 | 代表的な例 | 計算のしかた |
|---|---|---|
| ①公的年金等 | 老齢年金、iDeCo・国民年金基金からの年金 | 収入−公的年金等控除額 |
| ②業務(副業) | 原稿料・講演料・Web制作・ハンドメイド販売 | 総収入−必要経費 |
| ③その他 | 個人年金・FX・暗号資産・外貨預金の為替差益 | 総収入−必要経費 |
①だけ公的年金等控除
②③は必要経費を引きます。


雑所得は3つ。
年金が①
副業の原稿料などが②
FX・暗号資産・為替差益が③です。
①だけ「公的年金等控除」
②③は「必要経費」を引いて計算します。
雑所得にはどんなものがある?
身近な具体例を3分類ごとに挙げます。「これは雑所得かな?」と迷ったら、ここで当たりをつけてください。
- 公的年金等…国民年金・厚生年金などの老齢給付、iDeCoや国民年金基金からの年金。なお障害年金・遺族年金は非課税で税金がかかりません
- 業務(副業)…事業と呼べる規模ではない副業収入。原稿料・講演料・Web制作・ハンドメイド販売など
- その他…個人年金保険の年金、FX・暗号資産(仮想通貨)の利益、外貨預金の為替差益など


不用品(生活用動産)の売却は原則非課税なので、メルカリで服を売った程度なら雑所得にはなりません。ただし、利益目的で継続的・反復的に転売すると、事業所得や譲渡所得として扱われることがあります。


雑所得の金額はどう計算する?
雑所得は、3つのグループを別々に計算してから合算します。式はシンプルです。
①公的年金等=収入金額 − 公的年金等控除額
②業務=総収入金額 − 必要経費
③その他=総収入金額 − 必要経費
雑所得 = ① + ② + ③


| 受給者年齢 | 公的年金等の収入金額 | 公的年金等控除額 |
|---|---|---|
| 65歳以上 | 330万円以下 | 110万円 |
| 65歳以上 | 330万円超 410万円以下 | 収入×25%+27.5万円 |
| 65歳未満 | 130万円以下 | 60万円 |
| 65歳未満 | 130万円超 410万円以下 | 収入×25%+27.5万円 |
65歳以上は年金330万円以下なら110万円、65歳未満は130万円以下なら60万円を収入から差し引きます。たとえば65歳以上で年金200万円なら、雑所得は90万円(200万円−110万円)です。
令和7年改正で、年金から所得税が源泉徴収されない基準が引き上げられました。65歳以上は公的年金が205万円未満(65歳未満は155万円未満)なら源泉徴収の対象外です。私自身も給与+事業の二刀流で申告していますが、年金世代は「教科書の旧基準(158万円)」のままだと手取りを読み違えやすいので、最新の数字で確認するのが安心です。
確定申告はいくらから必要?


会社員は給与以外の所得が年20万円超で確定申告。年金受給者は公的年金400万円以下+他の所得20万円以下なら不要です。ただし住民税の申告は別に必要なことがあります。
判断の軸は2つあります。
- 会社員(給与所得者)…給与・退職以外の所得(雑所得を含む)が年20万円を超えると確定申告が必要。20万円以下なら所得税の申告は原則不要です
- 年金受給者…公的年金等の収入が400万円以下(すべて源泉徴収対象)で、かつ公的年金以外の所得が20万円以下なら、確定申告は不要です(確定申告不要制度)
20万円以下で所得税の確定申告が不要でも、住民税の申告は別途必要です。20万円ルールは所得税のみの特例で、住民税にはこの枠がありません。申告漏れに注意しましょう。
雑所得と事業所得の違いは?
同じ副業でも、雑所得か事業所得かで税金の重さが変わります。事業所得なら青色申告や損益通算が使え、節税の幅が広がるためです。境目の目安は、収入金額と帳簿・書類の保存です。
| 項目 | 業務に係る雑所得 | 事業所得 |
|---|---|---|
| 規模・帳簿 | 帳簿保存なし/小規模 | 帳簿を備え継続・反復した事業規模 |
| 収入の目安 | おおむね300万円以下 | おおむね300万円超(規模で判断) |
| 赤字の損益通算 | できない | できる |
とくに大きな違いが損益通算です。雑所得は赤字が出ても「所得0円」とされるだけで、給与など他の所得と相殺できません。事業所得なら赤字分を他の所得から差し引けるため、ここが税負担を左右します。









