ぎゅうた「友達が空き巣の被害に遭ったんだよね…。こういう損害って、税金で助けてもらえたりするの?」



「はい、雑損控除という制度があります。災害・盗難・横領が対象です。ただし意外なことに、詐欺の被害は対象外なんですよ」
雑損控除は、災害や盗難で暮らしに必要な財産が損害を受けたときに、税負担を軽くしてくれる制度です。使う場面は多くありませんが、いざというときに知っておきたい控除です。
この記事では、1級FP技能士の視点で「対象になる被害」「控除額の計算」を、初心者向けにやさしく解説します。
雑損控除は、災害・盗難・横領によって生活に必要な資産に損害を受けたときに使える制度です。詐欺や恐喝は対象外。控除しきれない分は、翌年以後3年間くり越せます。会社員も確定申告が必要です。
雑損控除とは?対象になる被害・ならない被害
雑損控除の対象になるのは、災害・盗難・横領の3つによる損害です。対象になる資産は、本人や生計を一にする家族(総所得58万円以下)が持つ生活に通常必要な資産(住宅・家財・現金など)に限られます。


地震・台風・火災に加え、シロアリなど害虫による被害も「災害」として対象になります。空き巣などの盗難、横領も対象です。一方、詐欺・恐喝は対象外。事業用の資産や別荘、30万円超の貴金属なども対象になりません。



「盗難はよくて詐欺はダメ、というのが不思議だね。」
詐欺が対象外なのは、被害者が「自分の意思で」財産を渡していると扱われるためです。盗難・横領は本人の意思に反して奪われるため対象になりますが、詐欺は法律上この線引きの外側になります(過去の裁決でも振り込め詐欺の被害は対象外とされています)。一方、意外に思われがちなシロアリ駆除は「害虫による災害」として対象。なお、家族の資産も含める場合の所得要件は、令和7年分から48万→58万円以下に引き上げられました(国税庁「No.1110 雑損控除」参照)。
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いくら控除される?計算方法
控除額は、次の①②のうち多い方です。
①(損害金額 + 災害関連支出 − 保険金など)− 総所得金額等 × 10%
②(災害関連支出 − 保険金など)− 5万円
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 損害金額(住宅・家財) | 200万円 |
| 保険金など | 50万円 |
| 総所得金額等(400万円)× 10% | 40万円 |
| 雑損控除額(①の式) | 110万円 |
ポイントは、所得の10%は自己負担になること。医療費控除の「10万円」に似た仕組みです。
控除しきれないときは3年くり越せる
損害が大きく、その年の所得から引ききれないこともあります。その場合、控除しきれなかった金額(雑損失)は翌年以後3年間くり越して各年の所得から差し引けます(雑損失の繰越控除)。
特定非常災害による損失なら5年間にのびます。ただし繰り越すには、毎年続けて確定申告をすることが条件です。



「大きな災害では損害が所得を上回ることも珍しくありません。繰り越しを使えるかどうかで、その後の家計が大きく変わります」
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雑損控除のよくある質問(FAQ)
- 詐欺の被害でも雑損控除は使えますか?
-
使えません。雑損控除の対象は「災害・盗難・横領」に限られ、詐欺や恐喝による損失は対象外です。被害者が自分の意思で財産を渡したと扱われるためで、振り込め詐欺の被害についても対象外とされた事例があります。
- シロアリの駆除費用は対象になりますか?
-
対象になります。シロアリなど害虫による被害は「害虫等による異常な災害」として、雑損控除の対象です。ただし、被害が出る前の予防目的の工事は対象外となるため、駆除や修繕にかかった費用かどうかを区別しましょう。
- 会社員も手続きが必要ですか?
-
はい。雑損控除は年末調整では受けられないため、会社員でも確定申告が必要です。り災証明書や被害届の受理証明書、修繕費の領収書などを準備しましょう。なお災害の場合は「災害減免法」による軽減もあり、有利な方を選べます。
まとめ
- 対象は災害・盗難・横領。シロアリ被害も対象だが、詐欺・恐喝は対象外
- 控除額は①②のうち多い方。所得の10%は自己負担になる
- 引ききれない分は3年くり越せる(特定非常災害は5年)。会社員も確定申告が必要
雑損控除は、使う機会が来ないのが一番です。それでも「もしも」のときに知っているかどうかで、家計の立て直しやすさは変わります。これで所得控除の全16種類はひと通り解説しました。
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【出典】国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」/「詐欺による損失」/「令和7年度税制改正(基礎控除の見直し等関係)Q&A」








