雇用保険の基本手当とは?受給条件・日額の計算・給付日数をFPが解説

ぎゅうた

「会社を辞めたらもらえる”失業手当”って、いくらもらえるの?いつから?自己都合だとすぐもらえないって聞いたけど…」

みる

「その正式名称が『基本手当』です。金額は前の給料の約5〜8割、日数は年齢と勤続年数と離職理由で決まります。2025年4月から自己都合の待ち時間が短くなったのも大きなポイントですよ」

基本手当は、いわゆる「失業手当」のこと。働く意思と能力があり求職活動をしているのに職に就けない人に支給される、雇用保険の中心的な給付です。

前回は保険料と被保険者を解説しましたが、今回はその保険料で受けられる代表的な給付を、1級FP技能士の視点でやさしく解説します。

この記事の結論

基本手当を受けるには、原則離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上(倒産・解雇などの特定受給資格者は離職前1年間に6か月以上)が必要です。金額は賃金日額の50〜80%(60歳以上65歳未満は45〜80%)。日数は年齢・算定基礎期間・離職理由に応じて90〜330日です。受給には7日間の待期があり、自己都合退職はさらに原則1か月の給付制限(2025年4月から2か月→1か月に短縮)。受給期間は離職日の翌日から原則1年です。

目次

基本手当とは?受給できる条件

基本手当は、働く意思と能力があって求職活動を行っているのに、職に就けない失業者に対する給付です。「退職すれば誰でももらえる」わけではなく、次の要件を満たす必要があります。

基本手当の支給要件

原則:離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上
特定受給資格者など:離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上

※被保険者期間としてカウントされるのは、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上、または労働時間数が80時間以上の月。
※特定受給資格者=倒産・解雇等により、再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた人。

手続きは、住んでいる地域を管轄するハローワークで行います。離職票を提出して求職の申込みをすると受給資格が決定され、受給資格者証が交付されます。以降は原則4週間に1回の認定日にハローワークへ出向き、失業の認定を受けた日数分が支給されます。

いくらもらえる?賃金日額と基本手当日額

金額の土台になるのが賃金日額です。離職前6か月間に支払われた賃金の総額(賞与を除く)を180で割って求めます。

これに給付率を掛けたものが基本手当日額。給付率は60歳未満が50〜80%、60歳以上65歳未満が45〜80%で、賃金が低い人ほど高い率になります。

なお、賃金日額・基本手当日額には年齢区分に応じた上限・下限があり、毎年8月1日に改定されます。

基本手当日額の計算方法を示した図解。離職前6か月の賃金総額を180で割って賃金日額を求め、給付率50〜80パーセントを掛けて基本手当日額を算出する流れを示している
上の図のポイント

ざっくり「前の給料の5〜8割」と覚えればOKです。たとえば離職前6か月の賃金総額が180万円なら賃金日額は1万円、給付率50%なら基本手当日額は5,000円。賞与は含めない点、上限・下限が毎年8月に見直される点は要チェックです。労災の「給付基礎日額」と考え方は似ていますが、別制度なので混同しないようにしましょう。

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何日分もらえる?所定給付日数は90〜330日

基本手当が支給される日数を所定給付日数といい、離職日における「年齢」「算定基礎期間(被保険者であった期間)」「離職理由」で決まります。

まず、自己都合退職や定年退職の場合は次のとおりです。

スクロールできます
算定基礎期間1年未満1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日120日150日
自己都合退職・定年退職など(特定受給資格者以外)の所定給付日数
※基本手当は65歳未満に限ります

一方、倒産・会社都合の解雇などの特定受給資格者は、年齢によっても日数が変わり、最長330日と手厚くなります。

スクロールできます
年齢/算定基礎期間1年未満1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日
30歳以上35歳未満120日180日210日240日
35歳以上45歳未満150日240日270日
45歳以上60歳未満180日240日270日330日
60歳以上65歳未満150日180日210日240日
特定受給資格者(倒産・会社都合の解雇など)の所定給付日数
1級FPの視点|離職理由で大きく変わる

同じ勤続20年でも、自己都合なら150日、45歳以上60歳未満の会社都合なら330日。倍以上の差が出ます。離職票の離職理由は必ず確認しましょう。事実と違う場合はハローワークに申し立てができます。

ぎゅうた

「離職理由でこんなに違うんだ…!離職票、ちゃんと見なきゃいけないね」

いつからもらえる?待期7日と給付制限

求職の申込みをした後、失業している日が通算して7日間は「待期期間」となり、支給されません。これは離職理由を問わず全員に適用されます。会社都合の場合は、この7日が過ぎれば支給が始まります。

自己都合退職の場合は、待期7日に加えて原則1か月の給付制限があります。2025年4月の改正で2か月から短縮された点で、ただし5年以内に3回以上自己都合で離職した場合は3か月。定年退職の場合は給付制限がなく、待期7日で受給できます。さらに2025年4月からは、離職期間中や離職日前1年以内に教育訓練を自ら受けた場合は給付制限が解除されます(重責解雇を除く)。

基本手当の待期期間と給付制限のイメージ図。会社都合は待期7日の後に支給開始、自己都合は待期7日に加えて原則1か月の給付制限があることを示している

もう1つ大切なのが受給期間。基本手当を受けられるのは離職日の翌日から原則1年間で、これを過ぎると所定給付日数が残っていても受給できません。ただし病気・出産・育児などで30日以上働けない場合は、最長4年まで延長できます。

雇用保険の基本手当|よくある質問(FAQ)

自己都合で辞めると基本手当はいつからもらえますか?

7日間の待期期間に加えて、原則1か月の給付制限が終わってからです。2025年4月の改正で、それまでの2か月から1か月に短縮されました。ただし5年以内に3回以上自己都合で離職した場合は3か月となります。また、所定の教育訓練を自ら受けた場合は給付制限が解除されます(重責解雇を除く)。

基本手当はいくらもらえますか?計算方法は?

離職前6か月の賃金総額(賞与を除く)を180で割った「賃金日額」に、給付率を掛けて計算します。給付率は60歳未満で50〜80%、60歳以上65歳未満で45〜80%。賃金が低い人ほど率は高くなります。日額には年齢区分ごとの上限・下限があり、毎年8月1日に改定されます。

勤続1年未満でも基本手当はもらえますか?

自己都合退職の場合、原則として離職前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要なため、受給は難しくなります。ただし倒産・解雇などの特定受給資格者に該当すれば、離職前1年間に通算6か月以上で受給でき、所定給付日数も90日が設定されています。

まとめ

  • 受給要件は原則「離職前2年間に被保険者期間12か月以上」。特定受給資格者は1年間に6か月以上
  • 金額は賃金日額(離職前6か月の賃金÷180)の50〜80%。60歳以上65歳未満は45〜80%
  • 所定給付日数は90〜330日。年齢・算定基礎期間・離職理由で決まり、会社都合が手厚い
  • 待期7日は全員共通。自己都合は原則1か月の給付制限(2025年4月に短縮)。受給期間は原則1年

基本手当は、次の仕事を探す間の生活を支えるセーフティネットです。「12か月以上」「賃金日額の5〜8割」「90〜330日」「待期7日+自己都合は1か月」の4点を押さえておけば、転職や退職を考えるときの安心材料になります。実際の金額や日数は、離職票を持って管轄のハローワークで確認しましょう。

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【出典】厚生労働省「雇用保険の基本手当(失業給付)」「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」/雇用保険法第13条〜第23条・第33条/各都道府県労働局・ハローワーク

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