ぎゅうた「看護師とか保育士とか、本格的に資格を取って転職したいなあ。でも専門学校って学費が何十万円もするよね…。前に教えてもらった20%の給付じゃ足りないかも」



「そういう本格的な学び直しには『専門実践教育訓練給付金』です。なんと受講費用の最大80%が戻ってきます。ただし受講前の手続きが必須なので、そこだけは押さえておきましょう」
専門実践教育訓練給付金は、中長期的なキャリア形成に役立つ講座を修了したときに、受講費用の一部が雇用保険から支給される制度です。
教育訓練給付のなかで最も給付率が高いのが特徴。この記事では1級FP技能士の視点で、対象者・給付率・申請の流れをやさしく解説します。手軽に使える一般教育訓練給付金は下の記事をご覧ください。
専門実践教育訓練給付金は、支給要件期間が3年以上(初回の支給に限り2年以上)ある人が、厚生労働大臣の指定する専門実践教育訓練を修了した場合に支給されます。給付率は受講中50%(年間上限40万円)、資格取得+就職で70%(同56万円)、さらに賃金が5%以上上昇すると最大80%(同64万円)の3段階。受講開始前にキャリアコンサルティングと受給資格確認が必須です。
専門実践教育訓練給付金とは?対象者と対象講座
専門実践教育訓練給付金は、専門的・実践的な教育訓練として厚生労働大臣が指定する講座を修了した場合に支給される給付です。働く人の中長期的なキャリア形成を支援することが目的で、期間の長い本格的な講座が中心になります。
①支給要件期間(被保険者であった期間)が3年以上あること
②初回の支給に限り、支給要件期間は2年以上でよい
③前回の教育訓練給付の受給から3年以上経過していること
④受講開始前にキャリアコンサルティングを受け、受給資格確認の手続きを行うこと
⑤厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了したこと
※在職中でも、離職後1年以内でも対象。支給額が4,000円を超えない場合は支給されません。
一般教育訓練の支給要件期間が「初回1年以上」なのに対し、専門実践は「初回2年以上」とやや長めです。対象講座は次のような分野が中心になります。
| 分野 | 講座の例 |
|---|---|
| 医療・福祉 | 看護師、介護福祉士、保育士、理学療法士、社会福祉士など |
| 専門職大学院 | MBA、法科大学院、教職大学院など |
| IT・デジタル | ITスキル標準レベル3以上の講座、データサイエンスなど |
| 専門学校の職業実践専門課程 | 美容、調理、自動車整備など |
| その他の資格 | キャリアコンサルタント、税理士、建築士など |
※実際に指定されているかは講座ごとに異なります
ここでも指定されているのは資格ではなく講座です。申し込み前に「教育訓練講座検索システム」で必ず確認しましょう。
いくら戻る?50%・70%・80%の3段階
この給付の最大の特徴が、条件を満たすほど給付率が上がっていく3段階の設計です。


| 段階 | 条件 | 給付率 | 年間上限 |
|---|---|---|---|
| ①受講中 | 受講しながら6か月ごとに支給 | 50% | 40万円 |
| ②追加給付 | 資格取得等をし、修了後1年以内に 被保険者として雇用された | +20% (計70%) | 56万円 |
| ③追加給付 | ②に加えて、修了後の賃金が 受講開始前より5%以上上昇 | +10% (計80%) | 64万円 |
※支給額が4,000円を超えない場合は支給されません
受講費用が100万円の講座なら、受講中に50万円が支給され、資格を取って就職すれば70万円に、さらに賃金が上がれば80万円まで戻ってくる計算です。
なお上限は訓練期間によって変わり、1年で64万円、2年で128万円、3年で192万円が目安。長期の課程ほど総額は大きくなります。
市販のテキストやネット情報には、まだ「最大7割・3年間で168万円」と書かれたものが多く残っています。これは給付率が引き上げられる前の内容です。現在は賃金上昇による10%の追加給付が創設され、最大8割・年間上限64万円まで拡充されています。受講を検討する際は、必ず厚生労働省やハローワークの最新情報で確認しましょう。



「100万円の講座で80万円戻るってすごい…!でも段階を踏まないと満額にはならないんだね」
申請の流れ|受講前の手続きが必須
専門実践でいちばん注意したいのが、受講を始める前に手続きが必要な点です。一般教育訓練は修了後の申請だけで済みますが、専門実践は事前手続きを忘れると受給できません。


①【受講開始前】キャリアコンサルティングを受け、ジョブ・カードを作成
②【受講開始1か月前まで】ハローワークで受給資格確認の手続き
③【受講中】6か月ごとに支給申請(50%分)
④【修了後】資格取得・就職・賃金上昇に応じて追加給付を申請
※②の期限に間に合わないと受給できません。講座の申し込みと並行して、早めにハローワークへ相談を。
また、離職中で45歳未満などの要件を満たす人は、受講期間中の生活費を支援する教育訓練支援給付金を併せて利用できる場合があります。詳しくはハローワークで確認しましょう。
専門実践教育訓練給付金|よくある質問(FAQ)
- 専門実践教育訓練給付金はいくらもらえますか?
-
3段階で支給されます。受講中は教育訓練費用の50%(年間上限40万円)、資格取得等をして修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されると20%が追加されて計70%(同56万円)、さらに修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇すると10%が追加されて最大80%(同64万円)です。上限は訓練期間に応じて1年64万円・2年128万円・3年192万円が目安になります。
- 働きながらでも受けられますか?年齢制限はありますか?
-
在職中でも受けられます。対象は一般被保険者または高年齢被保険者である人と、被保険者でなくなった日から原則1年以内の人で、年齢による制限はありません。ただし支給要件期間が3年以上(初回の支給に限り2年以上)必要です。なお、離職者向けの教育訓練支援給付金には年齢要件があるため、そちらは別途確認しましょう。
- 受講前の手続きを忘れたら受給できませんか?
-
原則として受給できません。専門実践教育訓練は、受講開始前にキャリアコンサルティングを受けたうえで、受講開始日の1か月前までにハローワークで受給資格確認の手続きを行う必要があります。この点が、事前手続き不要の一般教育訓練給付金との大きな違いです。講座の申し込みを検討し始めた段階で、早めにハローワークへ相談しましょう。
まとめ
- 専門実践教育訓練給付金は、中長期的なキャリア形成に資する講座が対象。教育訓練給付で最も手厚い
- 給付率は受講中50%→資格取得+就職で70%→賃金5%以上上昇で最大80%の3段階
- 支給要件期間は3年以上(初回の支給に限り2年以上)。在職中でも利用できる
- 受講開始前のキャリアコンサルティングと受給資格確認が必須。忘れると受給できない
専門実践教育訓練給付金は、本格的な学び直しで人生を変えたい人にとって心強い制度です。「最大80%の3段階」「支給要件期間3年(初回2年)」「受講前の手続きが必須」の3点を押さえておけば、学費の不安をぐっと減らせます。気になる講座があれば、まず指定講座かを確認し、早めにハローワークへ相談しましょう。
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【出典】厚生労働省「教育訓練給付制度」「専門実践教育訓練給付金の支給申請手続について」/ハローワークインターネットサービス「教育訓練給付」/雇用保険法第60条の2/各都道府県労働局・ハローワーク









