ぎゅうた「給与明細に『雇用保険』って引かれてるけど、これって何?アルバイトのぼくも入ってるのかな。そもそも保険料っていくらなんだろう?」



「今回から雇用保険シリーズです。まずは土台となる『誰が入るのか(被保険者)』と『保険料はいくらで誰が払うのか』を押さえましょう。実は労災保険と違って、労働者も負担しているんですよ」
雇用保険は、労働者が失業したときや育児休業・教育訓練を受けたときなどに給付を行う公的保険です。労災保険が「全額会社負担」だったのに対し、雇用保険は労働者も保険料を負担します。
この記事では1級FP技能士の視点で、被保険者になる条件と保険料率・負担割合を、令和8年度の最新料率でやさしく解説します。
雇用保険の被保険者になるのは、①1週間の所定労働時間が20時間以上②継続して31日以上の雇用見込みの両方を満たす人。パート・アルバイトも対象ですが、社長・役員・個人事業主とその家族、公務員は対象外です。保険料は賃金総額に雇用保険料率を掛けて計算し、失業等給付・育児休業給付に係る分は労使折半、雇用保険二事業に係る分は全額事業主負担。令和8年度の一般の事業は合計13.5/1000(労働者5/1000・事業主8.5/1000)です。
雇用保険とは?誰が加入する保険なのか
雇用保険は、労働者が失業したときや、教育訓練を受けたとき、育児・介護で休業したときなどに給付を行う制度です。
保険者(運営主体)は国(政府)で、窓口は公共職業安定所(ハローワーク)。労災保険とセットで「労働保険」と呼ばれます。
一定の条件を満たしたすべての労働者が対象ですが、経営者である社長や役員、個人事業主およびその家族は加入できません。また、公務員も雇用保険の対象外です(別の制度で保障されるため)。


雇用保険は「雇われて働く人」のための保険です。社長・役員や個人事業主が入れない点は、労災保険の考え方(特別加入を除き労働者が対象)と共通しています。労働保険のもう一方である労災保険は、下の記事で解説しています。


被保険者になる条件は?週20時間・31日以上
パートタイマーなどの短時間労働者を含めて、1つの適用事業において次の2つの要件をどちらも満たす人が被保険者になります。
①1週間の所定労働時間が20時間以上あること
②継続して31日以上の雇用見込みがあること
※複数の適用事業に雇用される場合は、要件を満たし、主たる賃金を受ける事業所の被保険者になります。
被保険者は就労の実態により4種類に分かれますが、まず押さえたいのは一般被保険者と高年齢被保険者。一般被保険者は65歳以上になると自動的に高年齢被保険者になります。
さらに2022年1月から、複数の事業所で働く65歳以上向けにマルチジョブホルダー制度が始まり、次のすべてを満たせば本人の申出により「マルチ高年齢被保険者」になれます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ①年齢 | 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者 |
| ②労働時間 | 2つの事業所の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上 (1つの事業所で5時間以上20時間未満) |
| ③雇用見込み | 2つの事業所それぞれの雇用見込みが31日以上 |
※原則、労働者本人からの申出を行った日から適用されます
基本は「週20時間以上+31日以上の雇用見込み」。この2つはセットで覚えましょう。65歳以上でダブルワークをしている方は、マルチジョブホルダー制度で加入できる可能性があります。なお、2つの事業所のうち1つだけを離職した場合も資格を喪失し、原則として本人が届出を行う点に注意です。



「週20時間以上ならアルバイトでも入れるんだ!ダブルワークの65歳以上向けの制度もあるんだね」
保険料はいくら?料率と負担割合(令和8年度)
保険料は、原則として年度ごとの被保険者の賃金総額に雇用保険料率を掛けて計算し、労災保険料と合わせて事業主が納付します。料率は「一般」「農林水産・清酒製造」「建設」の3区分です。
大切なのが負担の分け方です。失業等給付および育児休業給付に係る保険料は労使折半で、労働者は賃金を受けるたびに差し引かれます。一方、「雇用保険二事業」に係る保険料は全額が事業主負担。そのため、健康保険のような「きっちり折半」にはなりません。
| 事業の種類 | 労働者負担 | 事業主負担 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 一般の事業 | 5/1000 | 8.5/1000 | 13.5/1000(1.35%) |
| 農林水産・清酒製造の事業 | 6/1000 | 9.5/1000 | 15.5/1000 |
| 建設の事業 | 6/1000 | 10.5/1000 | 16.5/1000 |
※事業主負担には雇用保険二事業分(一般3.5/1000・建設4.5/1000)が含まれます


計算は「賃金総額 × 保険料率」。一般の事業で月給30万円なら、労働者負担は30万円×5/1000=1,500円、事業主負担は2,550円です。賃金総額には残業代・通勤手当・賞与なども含まれ、退職金や役員報酬は含みません。
雇用保険料率は財政状況に応じて見直され、変更がある場合は原則4月1日から適用されます。令和8年度は前年度から0.1%引き下げられ、一般の事業で1.35%になりました。給与明細の「雇用保険」の額が変わったら、料率改定のタイミングかもしれません。
雇用保険の保険料と被保険者|よくある質問(FAQ)
- パートやアルバイトも雇用保険に入れますか?
-
入れます。1週間の所定労働時間が20時間以上で、継続して31日以上の雇用見込みがあれば、パート・アルバイトでも被保険者になります。逆に週20時間未満の場合は原則として対象外です。なお、社長・役員や個人事業主とその家族、公務員は加入できません。
- 雇用保険料は労使折半ですか?いくら引かれますか?
-
完全な折半ではありません。失業等給付・育児休業給付に係る保険料は労使折半ですが、雇用保険二事業に係る保険料は全額事業主負担のため、事業主のほうが負担は大きくなります。令和8年度の一般の事業では労働者負担は5/1000で、月給30万円なら1,500円が給与から差し引かれます。
- 65歳以上でダブルワークをしていますが加入できますか?
-
マルチジョブホルダー制度により加入できる場合があります。65歳以上で、2つの事業所の労働時間を合計して週20時間以上(1つの事業所で5時間以上20時間未満)、それぞれの雇用見込みが31日以上という要件を満たせば、本人の申出により「マルチ高年齢被保険者」になれます。手続きは本人がハローワークに申し出ます。
まとめ
- 雇用保険の保険者は国、窓口はハローワーク。社長・役員・個人事業主とその家族、公務員は対象外
- 被保険者の要件は「週20時間以上+31日以上の雇用見込み」。パート・アルバイトも対象
- 65歳以上は高年齢被保険者に。ダブルワークならマルチジョブホルダー制度も
- 保険料は失業等給付・育休給付分が労使折半、二事業分は全額事業主負担。令和8年度の一般の事業は13.5/1000
雇用保険は、働く人のセーフティネットの入口です。「週20時間+31日」「労使折半+二事業は会社負担」の2点を押さえておけば、給与明細の見方も変わってきます。次回は、この保険料でどんな給付が受けられるのか——失業等給付を中心にくわしく解説します。
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【出典】厚生労働省「令和8(2026)年度 雇用保険料率のご案内」「雇用保険制度の概要」「マルチジョブホルダー制度」/雇用保険法第6条・第37条の5/労働保険の保険料の徴収等に関する法律/各都道府県労働局・ハローワーク









