加給年金とは?条件・金額と2028年改正をFP1級が解説

「年金にも家族手当のような上乗せがあるらしい」

——そう聞いて、自分や配偶者は対象になるのか気になっていませんか。

加給年金は、年の差夫婦ほど受け取れる総額が大きくなる一方、「申請しないともらえない」「繰り下げると消える」「ねんきん定期便には載らない」など、見落としやすいポイントが多い制度です。

さらに2028年4月からは金額の見直しも控えています。

この記事では1級FP技能士の視点で、条件・2026年度の金額・2028年改正・もらえないケースまで、図解付きでやさしく整理します。

この記事の結論

加給年金は「厚生年金20年以上の人」が65歳になったとき、生計を維持する65歳未満の配偶者や18歳年度末までの子がいる場合に上乗せされる“年金版の家族手当”です。2026年度の配偶者加給年金は最大で年額42万3700円。ただし2028年4月以降に受給権が発生する人からは、配偶者分が約1割減額される予定です。

さやか

「加給年金」って聞いたことはあるけど、結局どんな人がもらえるんですか?

みる

キーワードは「厚生年金20年以上」と「年下の配偶者」。まずは全体像から見ていきましょう。

目次

加給年金とは?「年金版の家族手当」をわかりやすく

加給年金とは、厚生年金保険の加入期間が20年以上ある人が原則65歳に到達した時点で、生計を維持している配偶者(65歳未満)または子ども(原則18歳到達年度の末日まで)がいる場合に、本人の老齢厚生年金に上乗せされる制度です。

配偶者自身が年金を受け取れるようになるまでの“つなぎ”の役割を持ち、「年金版の家族手当」とも呼ばれます。

そして配偶者が65歳になると加給年金は打ち切られ、代わりに配偶者(1966年4月1日以前生まれの場合に限る)の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされる仕組みに切り替わります。

誰がもらえる?対象になる配偶者・子の条件

加給年金の主な要件は次のとおりです。すべてを満たして初めて対象になります。

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項目条件
本人の加入期間厚生年金20年以上(240月以上)
配偶者65歳未満で生計を維持されている
子ども18歳到達年度の末日まで(障害等級1・2級は20歳未満)
生計維持の収入要件対象の配偶者・子の年収が850万円未満(将来にわたり)
対象外になる例配偶者自身が厚生年金20年以上の老齢厚生年金を受給中
けんじ

うちは妻が年下だけど、共働きだとどうなるんだ?

みる

配偶者自身が「厚生年金20年以上の老齢厚生年金」を受け取れる立場だと対象外です。共働きで奥さまもしっかり厚生年金に加入していたケースは要注意ですよ。

加給年金が夫の年金に上乗せされ、妻が65歳で振替加算に切り替わる流れを示した図解

上の図のポイント

夫の老齢厚生年金に加給年金が上乗せされ、妻が65歳になると加給年金は打ち切られます。その後は妻自身の老齢基礎年金に「振替加算」が加算される流れです(妻が1966年4月1日以前生まれの場合)。

なお、毎年届く「ねんきん定期便」には加給年金は記載されません。すべての人が対象になるわけではないためです。見込み額の把握とあわせて確認しておきたい方は、こちらもどうぞ。

FP1級の視点

加給年金は「年下の配偶者を扶養している大黒柱」を支える制度です。共働きが当たり前の今は対象外になる世帯も増えています。まずは「自分が厚生年金20年以上か」「配偶者が自分の厚生年金20年以上で受給するか」の2点を確認しましょう。
(出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」/FP技能検定対策テキスト)

加給年金はいくらもらえる?(2026年度の金額)

2026年度(令和8年度)の配偶者加給年金は、本体が年額24万3800円です。これに受給権者本人の生年月日に応じた「特別加算」が上乗せされます。

配偶者の加給年金額と特別加算はいくら?

昭和18年4月2日以後に生まれた人の場合、特別加算は年額17万9900円です。本体と合わせると、配偶者がいる場合の加給年金は最大で年額42万3700円(月額にすると約3万5000円)となります。

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区分(2026年度)年額
配偶者加給年金(本体)24万3800円
特別加算(昭和18年4月2日以後生まれ)17万9900円
合計(最大)42万3700円

子どもがいる場合の加給年金額は?

18歳到達年度末までの子どもがいる場合も加算されます。2026年度は第1子・第2子が各24万3800円、第3子以降は各8万1300円が目安です(最新額は日本年金機構の公表値をご確認ください)。

FP1級の視点

金額は毎年度の改定で変わります。注目すべきは「特別加算は若い世代ほど多い」点。1943年(昭和18年)4月2日以後生まれなら特別加算が最大で、配偶者が年下なほど受給期間が長くなり、総額のインパクトが大きくなります。
(出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算(令和8年度)」)

【2028年改正】加給年金はどう変わる?配偶者は減額・子は増額

2025年6月に成立した年金制度改正により、2028年(令和10年)4月から加給年金の見直しが行われます。ポイントは「配偶者分は減額、子の分は増額」という方向性です。

いつ生まれの人から減額される?

2028年4月以降に受給権が発生する人から、配偶者加給年金が約1割減額されます。

2025年度価格の試算では、現行の年41万5900円が約37万4300円となり、年間でおよそ4万円強の減額です。生年月日でいえば、昭和38年4月2日以後生まれの人から対象になります。

一方、子への加算は増額・一律化され、第3子以降も第1子・第2子と同水準に引き上げられる予定です。

2028年改正で配偶者加給年金が減額・子の加算が増額されることを比較した図解

上の図のポイント

昭和38年4月2日以後生まれの人から、配偶者加給年金は約1割減額(年約4万円減)。子への加算は増額・一律化されます。すでに加給年金を受給中の人や障害厚生年金の配偶者加算は、現行のまま維持されます。

FP1級の視点

「昭和38年4月1日生まれ」と「4月2日生まれ」で扱いが分かれ、年間4万円以上の差が生じます。共働き世帯の増加を背景にした縮小ですが、年の差夫婦ほど影響は大きい。改正後の家計を見据えるなら、減る分をどう補うかを早めに考えておきたいところです。(出所:厚生労働省 年金制度改正法/FP技能検定対策テキスト)

加給年金がもらえない・止まるのはどんなとき?

繰り下げ受給の落とし穴

老齢厚生年金を繰り下げている待機期間中は、加給年金が支給されません。しかも、繰り下げによる増額の対象にもならないため、「年金を増やそうと繰り下げたら加給年金を取り逃した」という事態が起こり得ます。年下の配偶者がいる人は、繰り下げの判断に加給年金を含めて考えることが大切です。

加給年金がもらえない・止まる4つのケースを整理したチェックリスト図解

上の図のポイント

加給年金が「もらえない・止まる」主なケースは、①配偶者が厚生年金20年以上の老齢厚生年金を受給、②本人が老齢厚生年金を繰り下げ待機中、③配偶者の年収が850万円以上、④配偶者が65歳に到達、の4つです。

配偶者が65歳になったら「振替加算」に切り替わる

配偶者が65歳になると加給年金は打ち切られ、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が上乗せされます。

ただし振替加算の対象は1966年4月1日以前生まれの配偶者に限られます。それ以降の世代は振替加算がないため、加給年金が終われば上乗せはなくなる点に注意してください。

FP1級の視点

加給年金は「期間限定の上乗せ」です。配偶者が65歳になれば数十万円の収入が消えます。こうした“いずれ減る公的収入”を前提に、生活費1年分の生活防衛資金を確保したうえで、不足分はNISA等の運用で補う設計。まず公的制度を正しく知ることが、私的な備えの出発点です。

加給年金の手続きは?申請を忘れないために

加給年金は条件を満たしていても自動では支給されません。原則として、本人が65歳になり老齢厚生年金の受給権が発生したときに、年金事務所へ「老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届」を提出します。

配偶者の年収を確認する書類(生計維持を確認する書類)や戸籍・住民票などが必要です。

さやか

申請を忘れたら、もうもらえないんですか?

みる

気づいた時点で届け出れば、時効(原則5年)の範囲でさかのぼって受け取れる場合があります。心当たりがあれば早めに年金事務所へ相談を。

まとめ:加給年金は「条件・金額・2028年改正」をセットで押さえる

  • 加給年金は厚生年金20年以上の人が、年下の配偶者・子を養う場合の“年金版家族手当”
  • 2026年度の配偶者加給年金は最大で年額42万3700円(本体+特別加算)
  • 2028年4月以降に受給権が発生する人(昭和38年4月2日以後生まれ)は配偶者分が約1割減額
  • 繰り下げ待機中は支給されず、配偶者が65歳になると打ち切り(その後は振替加算へ)
  • 自動支給ではないため、65歳時点での申請を忘れないこと

公的年金の上乗せを正しく理解できたら、次は「老後にいくら足りないか」を具体化する番です。ねんきん定期便の見方や、老後資金の考え方とあわせてチェックしておきましょう。

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よくある質問(加給年金FAQ)

加給年金はねんきん定期便に載っていますか?

載っていません。加給年金はすべての人が受け取れるわけではないため、ねんきん定期便には記載されないのが原則です。対象になるかは条件(厚生年金20年以上・年下の配偶者の有無など)で確認しましょう。

共働きでも加給年金はもらえますか?

配偶者が「厚生年金20年以上の老齢厚生年金」を受給できる場合は対象外です。逆に、配偶者の厚生年金加入が20年未満であれば、年収850万円未満などの条件を満たす限り共働きでも対象になり得ます。

2028年の改正で、すでに受給している人も減額されますか?

されません。減額は2028年4月以降に受給権が発生する人(昭和38年4月2日以後生まれ)が対象で、すでに加給年金を受け取っている人や障害厚生年金の配偶者加算は現行のまま維持されます。

※本記事は2026年度の制度・公表値および2025年6月成立の年金制度改正にもとづいています。金額は年度改定で変わるため、最新額は日本年金機構の公表値をご確認ください。個別の判断は年金事務所やお近くの専門家にご相談ください。

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