二次健康診断等給付とは?対象者・内容・請求方法をFPが解説

ぎゅうた

「健康診断で血圧も血糖も引っかかっちゃった…。再検査って自腹だよね?というか、これが労災保険と関係あるの?」

みる

「実は大アリなんです。条件を満たせば、精密検査と保健指導を”無料”で受けられる『二次健康診断等給付』があります。労災保険で唯一の”予防”のための給付なんですよ」

二次健康診断等給付は、会社の定期健康診断で脳・心臓疾患のリスクが高いと判断された人が、精密検査(二次健康診断)と保健指導を自己負担なしで受けられる制度です。

これまでの労災の給付が「起きてしまった後の補償」なのに対し、こちらは過労死などを未然に防ぐ”予防”の給付。この記事では1級FP技能士の視点で、対象者・給付内容・請求方法をやさしく解説します。

この記事の結論

二次健康診断等給付は、直近の定期健康診断(一次健康診断)で①血圧②血中脂質③血糖④腹囲またはBMIの4項目すべてに異常の所見があると診断された労働者が対象です。二次健康診断と特定保健指導を、健診給付病院等で無料(現物給付)で1年度に1回受けられます。請求は一次健康診断を受けた日から3か月以内に、様式第16号の10の2で行います。なお、特別加入者は対象外です。

目次

二次健康診断等給付とは?労災で唯一の”予防”の給付

労災保険の給付の多くは、ケガや病気をした「後」の補償です。これに対し二次健康診断等給付は、脳・心臓疾患(過労死)の発症を防ぐことを目的とした予防のための給付。

脳・心臓疾患は発症すると重い結果につながりやすい一方、発症前の予防が効果的とされています。そこで、健診でリスクが高いと判断された人に精密検査と生活改善の指導を無料で提供し、発症を未然に防ごうという狙いです。

二次健康診断等給付の位置づけを示した図解。労災保険の他の給付が発症後の補償であるのに対し、二次健康診断等給付は脳・心臓疾患の発症前の予防にあたることを示している
上の図のポイント

療養・休業・障害・遺族といった給付が「発症後」を支えるのに対し、二次健康診断等給付は「発症前」に働きかけます。労災保険は、起きた後の補償だけでなく、起こさないための仕組みも持っている——そう捉えると位置づけがすっきりします。労災保険の給付全体は下の記事で一覧にしています。

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誰が対象?
4項目すべてに異常所見が条件

対象は、直近の定期健康診断(一次健康診断)で、次の4項目のすべてに「異常の所見」があると診断された労働者です。

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要件内容
①血圧検査この4項目すべてに異常の所見があること
(1〜3項目だけでは対象外)
②血中脂質検査
③血糖検査
④腹囲の検査またはBMI(肥満度)の測定
対象外となる人すでに脳・心臓疾患の症状がある人/労災保険の特別加入者
二次健康診断等給付の対象要件
※4項目のうち一部のみの異常では対象になりません

ここが最大のポイントで、4項目のうち1〜3項目だけの異常では対象になりません。いわばメタボリックシンドロームに近い状態の人を絞り込む仕組みです。また、すでに脳・心臓疾患の症状がある方や、特別加入者は対象外となります(特別加入者の健康診断の受診は自主性に任されているため)。

上の表のポイント

「4項目すべて」がキーワードです。なお、4項目に異常所見がなくても、産業医が異常所見を認めると判断した場合には対象となることがあります。特別加入者が対象外である点は、一人親方やフリーランスの方は要チェック。特別加入制度は下の記事で解説しています。

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何が受けられる?
二次健康診断と特定保健指導

給付の中身は2つです。二次健康診断は、脳血管と心臓の状態を調べる精密検査で、空腹時血中脂質・空腹時血糖値・ヘモグロビンA1c検査、負荷心電図または心エコー検査、頸部エコー検査、微量アルブミン尿検査などを行います。

もう1つの特定保健指導は、その結果にもとづき医師や保健師が栄養・運動・生活習慣について行う指導です。いずれも1年度内(4月1日〜翌年3月31日)に1回、自己負担なしで受けられます(現物給付)。

請求方法は?3か月以内・様式16号の10の2

請求は労働者本人が行います。二次健康診断等給付請求書(様式第16号の10の2)に記入して事業主の証明を受け、一次健康診断の結果を証明する書類を添えて、健診給付病院等を経由して所轄の都道府県労働局長へ提出します。受診できるのは労災病院や労働局長が指定する健診給付病院等に限られます。

とくに注意したいのが期限です。請求できるのは一次健康診断を受けた日から3か月以内。これを過ぎると要件を満たしていても給付が受けられず、検査費用が全額自己負担になってしまいます。健診結果を受け取ったら、早めに動きましょう。

二次健康診断等給付の請求の流れを示した図解。定期健康診断で4項目に異常所見、請求書に事業主の証明を受け、健診給付病院等を経由して都道府県労働局長へ提出、無料で二次健診と特定保健指導を受けるという流れを示している
ぎゅうた

「知らないと自腹で再検査するところだった…!健診結果が届いたら3か月以内、覚えておくよ」

二次健康診断等給付|よくある質問(FAQ)

健康診断で2項目だけ異常でした。二次健康診断等給付は受けられますか?

原則として受けられません。血圧・血中脂質・血糖・腹囲またはBMIの4項目すべてに異常の所見があることが要件で、1〜3項目のみでは対象外です。ただし、これらに異常所見がない場合でも、産業医が異常所見を認めると判断したときは対象となることがあります。

請求に期限はありますか?費用は自己負担ですか?

一次健康診断を受けた日から3か月以内に請求する必要があります。期限を過ぎると、要件を満たしていても給付が受けられず全額自己負担になります。期限内であれば、二次健康診断・特定保健指導ともに自己負担はなく、1年度内に1回、無料で受けられます。

一人親方などの特別加入者も対象になりますか?

対象になりません。特別加入者の健康診断の受診は自主性に任されているため、二次健康診断等給付の対象外とされています。中小事業主・一人親方・フリーランスなどで特別加入している方は、この給付は使えない点に注意しましょう。

まとめ

  • 二次健康診断等給付は、脳・心臓疾患の発症を防ぐための”予防”の給付
  • 対象は血圧・血中脂質・血糖・腹囲(BMI)の4項目すべてに異常所見がある労働者
  • 二次健康診断と特定保健指導を、1年度内に1回、自己負担なし(現物給付)で受けられる
  • 請求は一次健康診断から3か月以内、様式第16号の10の2で。特別加入者は対象外

二次健康診断等給付は、知らないまま自己負担で再検査を受けてしまう人も多い、”もったいない”制度の代表格です。「4項目すべてに異常」「無料で年1回」「3か月以内に請求」の3点を押さえておけば、いざというとき活用できます。健診結果で気になる項目があったら、勤務先や所轄の労働基準監督署・都道府県労働局に確認してみましょう。

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【出典】厚生労働省「労災保険二次健康診断等給付」「二次健康診断等給付の請求手続」/労働者災害補償保険法第26条/労働安全衛生法第66条/各都道府県労働局・労働基準監督署

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