ぎゅうた「労災で重い障害が残って、介護が必要になったら…。年金だけじゃなくて、介護のお金も出るのかな?」



「出ますよ。それが”介護補償給付”です。傷病補償年金や障害補償年金を受けている方が、常に介護が必要な状態になったとき、介護費用が上乗せで支給されるんです」
介護補償給付は、労災で重い障害が残り、常時または随時の介護が必要になった場合に、介護費用として支給される給付です。これまで解説してきた傷病補償年金・障害補償給付の、いわば「介護が必要になったとき編」にあたります。
この記事では、1級FP技能士の視点で「誰がもらえるか」「いくらもらえるか(令和8年度の金額)」「注意点」を、初心者向けにやさしく解説します。
介護補償給付は、傷病補償年金または障害補償年金の受給者が、常時または随時の介護を受けている場合に、介護費用として支給される給付です。金額は令和8年度で、常時介護が月額90,790円〜186,050円、随時介護が月額45,400円〜92,980円。実際に支出した介護費用が支給されますが、上限額と最低保障額が設けられています。ただし、病院への入院中や介護施設への入所中は支給されません。公的介護保険とは別の制度で、両方を利用できる場合があります。
介護補償給付とは?誰がもらえる?
介護補償給付を受けるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
- 傷病補償年金または障害補償年金を受ける権利があること(一定の重い等級)
- 現に常時または随時の介護を受けていること
つまり、これまで解説してきた傷病補償年金・障害補償年金を受けている方が、介護が必要な状態になったときに上乗せされる給付、というイメージです。介護の程度によって「常時介護」と「随時介護」の2区分に分かれます。


介護補償給付は単独では受けられず、「傷病補償年金 or 障害補償年金を受けていること」が前提です。その上で、実際に介護を受けている場合に支給されます。労災の給付は、療養→休業補償→傷病補償年金→障害補償給付、そして介護が必要なら介護補償給付、と段階的に手厚くなっていきます。前回までの給付は、下の記事で解説しています。


いくらもらえる?常時介護・随時介護の金額
介護補償給付は、原則として実際に支出した介護費用が支給されます。ただし、支給額には上限額があり、また介護費用が少額でも一定額は保障される最低保障額が設けられています。金額は介護の程度(常時/随時)で変わり、毎年度見直されます。


| 介護の程度 | 上限額(月額) | 最低保障額(月額) |
|---|---|---|
| 常時介護 | 186,050円 | 90,790円 |
| 随時介護 | 92,980円 | 45,400円 |
※上限額は令和7年8月、最低保障額は令和8年4月に改定
金額は「実費が原則、ただし上限あり・最低保障あり」という仕組みです。常時介護は上限が月186,050円、随時介護はその約半分の月92,980円。これらの金額は毎年度改定されるため、実際に請求するときは最新の額を確認しましょう。介護補償給付は非課税です。



「実費が基本だけど、少なくても最低保障額はもらえるんだね。常時介護と随時介護で金額が倍くらい違うのか!」
注意点|入院・施設中はNG/親族介護/公的介護保険との違い
介護補償給付には、いくつか注意点があります。まず、病院・診療所へ入院している間や、介護施設(特別養護老人ホームなど)へ入所している間は支給されません。これらの施設では介護が提供されるため、という考え方です。
また、家族(親族)が介護している場合も対象になり得ます。介護費用を実際に支払っていればその実費が支給され、費用を払わず親族が介護した日がある月は最低保障額が支給されます。ただし、介護を受け始めた最初の月は最低保障額の対象外で、実費のみとなります。
混同しやすいのが公的介護保険との違いです。介護補償給付は「労災」が原因の介護に対する現金給付、公的介護保険は年齢・原因を問わず介護サービスを利用する制度です。両者は別制度で、要件を満たせば両方を利用できる場合があります。


介護補償給付のよくある質問(FAQ)
- 入院中や施設入所中でも介護補償給付はもらえますか?
-
もらえません。病院・診療所への入院中や、特別養護老人ホームなどの介護施設への入所中は、介護補償給付は支給されません。これらの施設では必要な介護が提供されるためです。在宅で介護を受けている場合が対象になります。
- 家族(親族)が介護している場合ももらえますか?
-
もらえる場合があります。介護費用を実際に支払っていれば、その実費が支給されます。費用を支払わず親族が介護した日がある月は、最低保障額が支給されます。ただし、介護を受け始めた最初の月は最低保障額の対象外で、実費のみとなる点に注意しましょう。
- 労災の介護補償給付と公的介護保険は一緒にもらえますか?
-
別制度なので、要件を満たせば両方を利用できる場合があります。介護補償給付は労災が原因の介護に対する現金給付、公的介護保険は介護サービスを利用する制度です。ただし調整が行われることもあるため、詳しくは労働基準監督署や市町村の窓口で確認しましょう。
まとめ
- 介護補償給付は、傷病補償年金・障害補償年金の受給者が常時/随時介護を受けているときの上乗せ給付
- 令和8年度の金額は、常時介護が月90,790円〜186,050円、随時介護が月45,400円〜92,980円
- 実費が原則だが上限額・最低保障額あり。入院中・施設入所中は支給されない
- 公的介護保険とは別制度。親族の介護でも実費支出があれば対象になる
介護補償給付は、労災で介護が必要になった方の生活を支える、労災保険の中でも手厚い給付です。「傷病補償年金・障害補償年金を受けていること」が前提で、「入院・施設中は出ない」「金額は毎年度改定される」という点を押さえておきましょう。具体的な金額や請求方法は、労働基準監督署に相談してください。
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【出典】厚生労働省・都道府県労働局「介護(補償)等給付の請求手続」/労働者災害補償保険法第12条の8/労災保険法施行規則(令和8年度の限度額・最低保障額)









