遺族補償給付とは?受給できる遺族と金額をFPが解説

ぎゅうた

「もし仕事中の事故で、家族が亡くなってしまったら…。残された家族の生活は、どうやって支えられるの?」

みる

「そのために用意されているのが”遺族補償給付”です。労災で働く人が亡くなったとき、残されたご遺族の生活を支えるための給付。年金や一時金として支給されます」

遺族補償給付は、労働者が仕事中や通勤中の災害で亡くなったとき、残された遺族に支給される給付です。これまで解説してきた労災保険の給付の中で、「働く人が亡くなってしまったとき」を支える、最後のセーフティネットにあたります。

この記事では、1級FP技能士の視点で「誰がもらえるか(受給順位)」「いくらもらえるか」「遺族厚生年金との違い」を、初心者向けにやさしく解説します。

この記事の結論

遺族補償給付は、労働者が労災で亡くなったとき、生計を維持されていた遺族に支給される給付です。配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順に、最先順位の遺族が受け取ります(遺族補償年金)。年金額は遺族の人数に応じて給付基礎日額の153日分〜245日分。あわせて、人数にかかわらず一律300万円の遺族特別支給金も支給されます。年金を受け取れる遺族がいない場合は、給付基礎日額1,000日分の一時金が支給されます。

目次

遺族補償給付とは?誰がもらえる?(受給順位)

遺族補償給付の中心となるのが遺族補償年金です。受け取れるのは、亡くなった労働者に生計を維持されていた遺族で、次の順位で最先順位の方に支給されます。

順位は配偶者 → 子 → 父母 → 孫 → 祖父母 → 兄弟姉妹の順です。先順位の方が亡くなったり再婚したりして受給権を失うと、次の順位の方に受給権が移ります(これを転給といいます)。

なお、妻以外の遺族には年齢や障害の要件があり、夫・父母・祖父母・兄弟姉妹が55歳以上60歳未満の場合は、受給資格はあっても60歳になるまで支給が止まります(若年停止)。

遺族補償年金の受給順位(配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹)と転給の仕組みを示した図解
上の図のポイント

受給順位のトップは配偶者です。ポイントは「転給」——先順位の方が受給権を失うと、次の順位の方に受給権が移る、労災独自の仕組みです。公的年金の遺族年金にはない特徴です。なお、傷病補償年金を受けていた方がその傷病で亡くなった場合も、遺族補償年金の対象になります。労災の基本は下の記事で解説しています。

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いくらもらえる?年金・一時金・300万円

遺族補償年金の額は、受給資格のある遺族の人数によって変わります。人数が多いほど、給付基礎日額に掛ける日数が増えていきます。

遺族補償給付の金額(人数別の年金日数・遺族特別支給金300万円・一時金1,000日分)を示した図解
スクロールできます
受給資格者の人数遺族補償年金の額
1人給付基礎日額の153日分
2人給付基礎日額の201日分
3人給付基礎日額の223日分
4人以上給付基礎日額の245日分
遺族補償年金の額(受給資格者の人数別)
※このほか遺族特別年金・遺族特別支給金が加わります

この年金に加えて、遺族の人数にかかわらず一律300万円の遺族特別支給金(一時金)が支給されます。また、遺族補償年金を受け取れる遺族がいない場合などには、遺族補償一時金(給付基礎日額の1,000日分)が支給されます。

上の図・表のポイント

覚えておきたいのは3つ。①年金は人数で153〜245日分、②人数に関係なく一律300万円の遺族特別支給金、③年金を受け取れる遺族がいなければ一時金1,000日分。特に「一律300万円」は分かりやすい目印になります。給付はいずれも非課税です。

ぎゅうた

「年金は人数で変わるけど、300万円の特別支給金は誰でも一律なんだね。残された家族にとって、大きな支えになりそう」

遺族厚生年金との違い・呼び名・葬祭料

まず混同しやすい遺族厚生年金との違いです。遺族厚生年金は、労災に限らず会社員などが亡くなったときに公的年金から支給される制度で、遺族補償給付とは別物です。

両方の要件を満たす場合は併給調整が行われ、労災の遺族補償年金が一定割合減額されたうえで両方支給されます。

また、名前の違いにも注意です。同じ内容でも、業務災害が原因なら「遺族補償給付」、通勤災害が原因なら「遺族給付」と呼び名が変わります(`補償`の有無)。中身は基本的に同じです。

なお、労働者が亡くなったときは、葬祭を行う方に対して葬祭料(葬祭給付)も支給されます。遺族補償給付とあわせて請求できます。

遺族補償給付のよくある質問(FAQ)

遺族補償給付は誰が最優先でもらえますか?

生計を維持されていた遺族のうち、配偶者が最優先です。以下、子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹の順になります。先順位の方が受給権を失うと、次の順位の方に受給権が移ります(転給)。配偶者のうち妻は年齢を問いませんが、夫やその他の遺族には年齢・障害の要件があります。

労災の遺族補償年金と遺族厚生年金は両方もらえますか?

両方を受け取れますが、併給調整が行われます。遺族厚生年金などの公的年金は全額支給され、労災の遺族補償年金が一定割合減額されたうえで、あわせて支給される仕組みです。二重取りにはなりませんが、合計額は労災単独より手厚くなります。

「遺族補償給付」と「遺族給付」は何が違いますか?

原因の違いによる呼び名の違いです。業務災害(仕事が原因)で亡くなった場合は「遺族補償給付」、通勤災害(通勤が原因)で亡くなった場合は「遺族給付」と呼ばれます。給付の内容や金額は基本的に同じです。

まとめ

  • 遺族補償給付は、労災で労働者が亡くなったとき、生計を維持されていた遺族への給付
  • 受給順位は配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹。先順位が失権すると次順位へ移る(転給)
  • 年金は人数で153〜245日分。加えて一律300万円の遺族特別支給金。遺族がいなければ一時金1,000日分
  • 遺族厚生年金とは併給調整。業務災害は「遺族補償給付」、通勤災害は「遺族給付」。葬祭料も請求できる

遺族補償給付は、大切な家族を労災で失ったご遺族の、その後の暮らしを支える制度です。「受給順位」「人数で変わる年金+一律300万円」「遺族厚生年金との併給調整」を押さえておけば、いざというときの助けになります。実際の手続きや金額は、所轄の労働基準監督署に相談しましょう。これで労災保険の給付シリーズは完結です。

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【出典】厚生労働省・都道府県労働局「遺族(補償)等給付・葬祭料等の請求手続」/労働者災害補償保険法第16条〜第17条/各労働基準監督署

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