障害補償給付とは?障害等級と年金・一時金の違いをFPが解説

ぎゅうた

「傷病補償年金は”まだ治っていないとき”の年金だったよね。じゃあ、治療が終わっても体に障害が残っちゃったら、どうなるの?」

みる

「そのときに支えてくれるのが”障害補償給付”です。治療が終わった=症状が固定した後に残った後遺障害に対して、等級に応じて年金や一時金が支給されるんですよ」

障害補償給付は、労災による傷病が治った(症状が固定した)あとに後遺障害が残った場合、その程度に応じて支給される給付です。前回解説した傷病補償年金の、いわば「治ったあと編」にあたります。

この記事では、1級FP技能士の視点で「傷病補償年金からどう変わるか」「障害等級と年金・一時金の違い」「金額」を、初心者向けにやさしく解説します。

この記事の結論

障害補償給付は、労災の傷病が治癒(症状固定)したあとに残った後遺障害に対して、障害等級に応じて支給される給付です。障害等級は第1級〜第14級まであり、重い第1〜7級は「障害(補償)年金」、軽い第8〜14級は「障害(補償)一時金」で支給されます。これに加えて障害特別支給金(一時金)などの上乗せもあります。療養中に支給される傷病補償年金とは、「治ったかどうか(症状固定)」で切り替わる点が違いです。

目次

障害補償給付とは?傷病補償年金からどう変わる?

労災の給付は、状態の変化に応じて移り変わっていきます。ケガや病気をして療養している間は療養(補償)給付や休業(補償)給付、療養が1年6か月を超えて治らず重い状態なら傷病補償年金。そして治療を続けて「これ以上は良くならない」という状態(症状固定=治癒)になったとき、次の段階に進みます。

その症状固定の時点で後遺障害が残っていれば、障害補償給付に切り替わります。ポイントは、傷病補償年金が「まだ治っていない療養中」の給付なのに対し、障害補償給付は「治ったけれど障害が残った」ときの給付だという点です。



労災給付の時間の流れ(療養・休業補償→傷病補償年金→治癒=症状固定→障害補償給付)を示した図解
上の図のポイント

労災の給付は「療養・休業補償 → 傷病補償年金 → 治癒(症状固定) → 障害補償給付」と移っていきます。境目になるのが症状固定。ここを境に、治療中の給付(傷病補償年金)から、後遺障害への給付(障害補償給付)へ切り替わります。労災の基本や傷病補償年金は、前回までの記事で解説しています。

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障害等級で変わる|1〜7級は年金・8〜14級は一時金

障害補償給付は、後遺障害の重さを表す障害等級(第1級〜第14級)によって、給付の形が変わります。分かれ目は7級と8級の間です。

重い第1級〜第7級は「障害(補償)年金」として毎年くり返し支給され、比較的軽い第8級〜第14級は「障害(補償)一時金」として一度にまとめて支給されます。

障害等級のものさし(1〜7級は年金、8〜14級は一時金)で給付の形の境界を示した図解



スクロールできます
障害等級給付の形上乗せ(特別支給金)
第1級〜第7級(重い)障害(補償)年金(毎年くり返し支給)障害特別支給金(一時金)+障害特別年金
第8級〜第14級(軽い)障害(補償)一時金(一括支給)障害特別支給金(一時金)+障害特別一時金
障害等級と給付の形
(1〜7級は年金・8〜14級は一時金)
上の図・表のポイント

覚え方はシンプルで、重い1〜7級は「年金」、軽い8〜14級は「一時金」。年金は毎年くり返し支給され、一時金は一度にまとめて支給されます。どちらの場合も、本体の給付に加えて障害特別支給金などの上乗せがあります。

ぎゅうた

「7級と8級の間が境目なんだね!重い方が年金、軽い方が一時金。これなら覚えやすいや」

いくらもらえる?金額と特別支給金

障害(補償)年金(1〜7級)の金額は、給付基礎日額に、等級ごとに定められた日数を掛けた額です。等級が重いほど日数が多く、金額も大きくなります。一時金(8〜14級)も同じく、等級ごとに定められた日数分が一括で支給されます。

さらに、これとは別に一時金の障害特別支給金が上乗せされます。金額は等級に応じて決まっており、たとえば第1級は342万円、第7級は159万円、第14級は8万円です。年金対象の1〜7級には障害特別年金、一時金対象の8〜14級には障害特別一時金も加わります。

スクロールできます
障害等級本体給付の形障害特別支給金(一時金)
第1級年金342万円
第7級年金159万円
第8級一時金65万円
第14級一時金8万円
障害特別支給金の例(等級別)
※本体の年金・一時金に上乗せされる
1級FPの視点|「本体給付+特別支給金」で受け取る

障害補償給付は「本体の給付(年金または一時金)」と「上乗せの特別支給金」がセットで支給されます。表の障害特別支給金は等級ごとの定額の一時金で、上の金額はその代表例です。実際の受取額は給付基礎日額(人によって異なる)で変わるため、具体的な金額は所轄の労働基準監督署で確認しましょう。障害補償給付も非課税です。

障害補償給付のよくある質問(FAQ)

障害補償給付は何級から年金になりますか?

重い第1級から第7級までが「障害(補償)年金」として毎年くり返し支給されます。第8級から第14級までは「障害(補償)一時金」として一度にまとめて支給されます。7級と8級の間が、年金と一時金の分かれ目です。

傷病補償年金と障害補償給付は何が違いますか?

「治ったかどうか」が違いです。傷病補償年金は、まだ治っていない療養中に支給される年金です。一方、障害補償給付は、治療が終わって症状が固定したあとに後遺障害が残った場合に支給されます。症状固定を境に、傷病補償年金から障害補償給付へ切り替わります。

障害補償給付にも上乗せの給付はありますか?

あります。本体の障害(補償)年金・一時金に加えて、一時金の障害特別支給金が上乗せされます。さらに、年金対象の1〜7級には障害特別年金、一時金対象の8〜14級には障害特別一時金も支給されます。いずれも非課税です。

まとめ

  • 障害補償給付は、労災の傷病が治癒(症状固定)したあとに残った後遺障害への給付
  • 障害等級は1〜14級。重い1〜7級は年金、軽い8〜14級は一時金
  • 本体給付に加えて障害特別支給金(例:1級342万円・14級8万円)などが上乗せされる
  • 傷病補償年金との違いは「治ったかどうか(症状固定)」。給付も非課税

障害補償給付は、労災で後遺障害が残ってしまったときに、その後の生活を支えてくれる給付です。「症状固定を境に傷病補償年金から切り替わる」「1〜7級は年金・8〜14級は一時金」の2点を押さえておけば、労災の給付の全体像がつかめます。具体的な等級や金額の判定は、労働基準監督署に相談しましょう。

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【出典】厚生労働省・都道府県労働局「障害(補償)等給付」/労働者災害補償保険法第15条・第15条の2/各労働基準監督署

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