配当控除とは?使うべきかの判断基準をFPがわかりやすく解説

ぎゅうた

「日本株の配当から自動で20%引かれているよね。確定申告すれば戻ってくると聞いたが、本当?」

みる

「配当控除ですね。総合課税を選んで確定申告すると使えます。ただし令和6年から”いいとこ取り”ができなくなり、判断の基準が変わりました。ここは要注意です」

配当控除は、これまで解説してきた所得控除と違い、税額から直接差し引ける「税額控除」です。使えば税金が戻る可能性がありますが、誰にとっても得とは限りません。

この記事では、1級FP技能士の視点で「配当控除の仕組み」「使うべきかの判断」を、初心者向けにやさしく解説します。

この記事の結論

配当控除は、配当を総合課税で確定申告すると税額から直接引ける税額控除です。控除率は所得税10%・住民税2.8%(課税所得1,000万円以下の部分)。ただしNISA・J-REIT・外国株は対象外で、有利になるのは課税所得695万円以下が目安です。

目次

配当控除とは?対象にならない配当

配当控除は、国内株式などの配当を総合課税を選んで確定申告した場合に使える税額控除です。会社が法人税を払ったあとの利益から配当が出るため、二重課税をやわらげる目的の制度です。

ただし、次の配当は対象になりません

NISA口座で非課税になっている配当
J-REIT(上場不動産投資信託)の分配金
外国株から受け取る配当
・申告分離課税や申告不要を選んだ配当

配当控除の対象になる配当と対象にならない配当(NISA・J-REIT・外国株など)を対比した図解
上の図のポイント

対象になるのは日本株など国内法人からの配当を総合課税で申告した場合です。NISA口座の配当はそもそも非課税のため対象外。J-REITの分配金や外国株の配当も対象になりません。

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控除率はいくら?計算方法

控除率は、その年の課税総所得金額によって2段階に分かれます。

スクロールできます
課税総所得金額等所得税住民税
1,000万円以下の部分10%2.8%
1,000万円超の部分5%1.4%

たとえば課税総所得が1,000万円以下の人が配当を20万円受け取った場合、所得税から2万円(20万円×10%)、住民税から5,600円(20万円×2.8%)が直接差し引かれます。所得控除と違い、税額からダイレクトに引けるのが税額控除の強みです。

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配当控除は使うべき?令和6年からの注意点

配当は何もしなければ約20%(所得税15%+住民税5%)が源泉徴収されて完結します(申告不要)。総合課税で申告して配当控除を使うほうが得かどうかは、所得によって変わります

FP1級の視点

令和6年度の住民税から、所得税と住民税で異なる課税方式を選べなくなりました。以前は「所得税は総合課税+配当控除、住民税は申告不要」というお得な組み合わせが可能でしたが、今はできません。住民税だけを見ると総合課税は10%−2.8%=7.2%となり、申告不要の5%より不利。この結果、総合課税が有利になるのは課税所得695万円以下が目安になりました。「900万円以下なら有利」という古い情報が今も残っているので注意してください。

ぎゅうた

「税金が安くなっても、ほかに影響が出ることはないの?」

みる

「鋭いですね。申告すると合計所得金額が増えるため、国民健康保険料が上がったり、配偶者控除の判定から外れたりすることがあります。税金だけで判断しないのがFPの基本です」

配当控除のよくある質問(FAQ)

NISAの配当でも配当控除は使えますか?

使えません。NISA口座の配当はそもそも非課税で税金がかからないため、税額から差し引く配当控除の対象外です。NISAで受け取る配当は、配当控除を考える必要がありません。

配当控除を使うと必ず得しますか?

いいえ。総合課税は累進税率のため、所得が高い人は申告不要(約20%)のままのほうが有利です。目安は課税所得695万円以下。また申告すると合計所得金額が増え、国民健康保険料や扶養の判定、医療費の窓口負担割合に影響することがあります。

株の売却損がある場合はどうすればいいですか?

売却損と配当を相殺(損益通算)したい場合は、総合課税ではなく「申告分離課税」を選びます。ただし申告分離課税を選ぶと配当控除は使えません。損益通算を優先するか配当控除を優先するかは、金額を比べて判断しましょう。

まとめ

  • 配当控除は税額から直接引ける税額控除。総合課税で確定申告すると使える
  • 控除率は所得税10%・住民税2.8%(1,000万円以下の部分)。NISA・J-REIT・外国株は対象外
  • 令和6年から住民税の”いいとこ取り”は不可。有利なのは課税所得695万円以下が目安

配当控除は「使えば得」とは限らない制度です。所得と、国民健康保険料などへの影響もあわせて、総合的に判断しましょう。

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【出典】国税庁「No.1250 配当所得があるとき(配当控除)」/総務省「上場株式等の配当所得等に係る課税方式の一致(令和4年度税制改正)」

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