ぎゅうた「介護サービスの自己負担って1割だよね?でも毎月使うと、けっこうな金額になっちゃうんじゃない?」



「そこで効いてくるのが”高額介護サービス費”です。1か月の自己負担に上限があって、超えた分は戻ってきます。医療の高額療養費の、介護版だと思ってください」
高額介護サービス費は、1か月に支払った介護サービスの自己負担額が一定の上限を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。要支援の方の場合は「高額介護予防サービス費」という名前になりますが、仕組みは同じです。
この記事では、1級FP技能士の視点で「いくら戻るのか」「上限額はいくらか」「どう申請するのか」を、初心者向けにやさしく解説します。令和8年8月からの改正点もあわせてお伝えします。
高額介護サービス費は、1か月の介護サービスの自己負担が上限を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。上限額は所得に応じて月15,000円〜140,100円。市町村への申請が必要で、2年以内なら後からでも請求できます。ただし、施設の食費・居住費や福祉用具の購入費、住宅改修費、支給限度額を超えて使った分は対象外です。なお令和8年8月から、低所得区分の判定基準が年金収入等80.9万円から82.65万円に引き上げられます。
高額介護サービス費とは?いくら戻る?
介護サービスを使うと、費用の1割(所得により2割・3割)を自己負担します。ただし利用が増えれば負担も膨らむため、1か月の自己負担額には上限が設けられています。上限を超えて払った分は、あとから払い戻されます。
計算はとてもシンプルで、「1か月に払った自己負担額 - 上限額 = 戻ってくる金額」です。健康保険の高額療養費と同じ考え方だと思うと、イメージしやすいでしょう。


| ステップ | 内容(例:上限44,400円の人) |
|---|---|
| ①1か月の自己負担 | 60,000円 |
| ②負担限度額 | 44,400円 |
| ③戻ってくる金額 | 60,000円 - 44,400円 = 15,600円 |
(上限を超えた分が払い戻される)
戻ってくる金額は「1か月の自己負担額 - 負担限度額」で計算します。裏を返せば、どれだけサービスを使っても1か月の自己負担は上限額で頭打ちになるということ。老後の生活費を考えるときは、この上限額を「介護費用の月々の最大値」として見積もると計画が立てやすくなります。
自己負担の上限額はいくら?
上限額(負担限度額)は、所得に応じて月15,000円から140,100円までの段階に分かれています。所得が低いほど上限も低く、負担が軽くなる仕組みです。
基本は「世帯」単位の上限です。同じ世帯に介護サービスを使っている人が複数いる場合は、全員分を合算して判定できます。ご夫婦で介護サービスを利用しているケースでは、この合算が効いてきます。


| 区分 | 負担限度額(月額) |
|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円(世帯) |
| 課税所得380万円〜690万円未満 | 93,000円(世帯) |
| 課税所得380万円未満 | 44,400円(世帯) |
| 市町村民税非課税世帯 | 24,600円(世帯) |
| うち年金収入等が82.65万円以下の方等 ※令和8年8月から80.9万円→82.65万円 | 24,600円(世帯) 15,000円(個人) |
| 生活保護を受給している方等 | 15,000円(世帯) |
「世帯」は世帯全員の合計の上限、「個人」は本人のみの上限
上限額は所得に応じて月15,000円〜140,100円の段階に分かれ、原則は世帯単位で合算して判定します。多くの高齢者世帯が当てはまる「市町村民税非課税世帯」なら月24,600円が上限です。まず自分(または親)がどの区分かを把握しておくと、介護費用の見通しが一気に立てやすくなります。
令和8年8月1日から、低所得区分を判定する基準額が年金収入等80.9万円から82.65万円に引き上げられます。これは令和7年の老齢基礎年金(満額)が従来の基準額80.9万円を上回ったためで、年金が増えたことで区分が上がり自己負担が増えてしまう事態を防ぐための改正です。これまで24,600円(世帯)だった方が15,000円(個人)の区分に変わり、負担が軽くなるケースがあります。8月に市町村から届く通知で、自分の区分が変わっていないか必ず確認しましょう。



「年金が増えたのに区分が上がって負担も増えたら本末転倒だもんね。ちゃんと調整されてるんだ!」
対象にならないものと、申請の方法は?
高額介護サービス費の対象は、あくまで介護保険サービスの自己負担分です。次のものは対象外なので、別に用意しておく必要があります。
- 施設やショートステイの食費・居住費(部屋代)
- 福祉用具の購入費、住宅改修費
- 理美容代などの日常生活費
- 区分支給限度額を超えて使った全額自己負担分
なお、低所得の方の施設の食費・居住費については、「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という別の制度で軽減を受けられる場合があります。
申請先はお住まいの市町村です。上限を超えた月があると市町村から通知が届くので、申請書を提出します。一度申請して口座を登録すれば、次回以降は自動で振り込まれる自治体がほとんどです。
高額介護サービス費のよくある質問(FAQ)
- 申請しないと受け取れませんか?いつ振り込まれますか?
-
初回は市町村への申請が必要です。自動的には振り込まれないため、通知が届いたら必ず手続きしましょう。振り込みはサービス利用月からおおむね3か月後が目安です。一度申請すれば、以降は同じ口座に自動で振り込まれる自治体が多くなっています。
- 夫婦など同じ世帯の分は合算できますか?
-
合算できます。負担限度額は原則として世帯単位で判定されるため、同じ世帯で複数の方が介護サービスを利用している場合は、全員分を合計して上限と比べます。払い戻しは各自の負担額に応じて按分されます。
- 申請を忘れていた分は、あとから請求できますか?
-
できます。高額介護サービス費の請求権の時効は2年です。2年以内であればさかのぼって申請できるので、過去の利用明細を確認し、上限を超えている月があれば市町村に相談してみましょう。
まとめ
- 1か月の自己負担が上限を超えた分は払い戻される。上限は所得に応じて月15,000円〜140,100円
- 食費・居住費、福祉用具の購入費、住宅改修費、限度額超過分は対象外
- 初回は市町村への申請が必要。時効は2年なので、忘れていた分もさかのぼって請求できる
- 令和8年8月から低所得区分の基準が年金収入等80.9万円→82.65万円に引き上げ
高額介護サービス費は、介護費用が青天井にならないよう守ってくれる制度です。ただし申請しないと受け取れない点と、食費・居住費は対象外という点は要注意。上限額を「月々の介護費の最大値」として把握し、対象外になる部分は貯蓄で備える——この2段構えで考えておくと安心です。
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【出典】厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1516」(令和8年6月25日)/介護保険法第51条/介護保険法施行令第22条の2の2・第29条の2の2/健康保険法施行令等の一部を改正する政令









