公的介護保険とは?第1号・第2号の違いと自己負担を解説

ぎゅうた

「給与明細に”介護保険料”って書いてあるんだけど…。ぼくまだ介護される年齢じゃないのに、なんで払ってるの?」

みる

「公的介護保険は40歳になると全員が加入する制度だからです。しかも40代・50代でも、特定の病気が原因なら介護サービスを使えるんですよ」

公的介護保険は、介護の必要性があると認定された人が、少ない自己負担で介護サービスを受けられる社会保険制度です。40歳になると自動的に加入し、保険料の負担が始まります。

この記事では、1級FP技能士の視点で「誰が対象なのか」「自己負担は何割か」「どのくらいの状態から使えるのか」を、初心者向けにやさしく解説します。

この記事の結論

公的介護保険は40歳から全員が加入する制度で、保険者は市町村(特別区を含む)です。65歳以上の第1号被保険者は原因を問わず、40歳以上65歳未満の第2号被保険者はがんや脳血管疾患など16種類の特定疾病が原因の場合にかぎり、介護サービスを利用できます。自己負担は原則1割(第1号で一定以上の所得がある人は2割または3割、第2号は1割のみ)。認定は要支援2段階+要介護5段階の計7区分です。

目次

公的介護保険とは?誰が加入する制度?

公的介護保険の運営主体(保険者)は市町村(特別区を含む)です。都道府県ではない点に注意しましょう。加入者(被保険者)は年齢で2つに分かれ、それぞれ保険料の払い方も、給付を受けられる条件も異なります。

ここでいちばん大切なのが「第2号被保険者は、特定疾病が原因の場合しか給付を受けられない」という点です。たとえば40代の方が交通事故で介護が必要になっても、公的介護保険は使えません。

公的介護保険の第1号被保険者と第2号被保険者の違い(年齢・保険料・受給要件・自己負担)を左右で比較した図解
スクロールできます
項目第1号被保険者第2号被保険者
対象65歳以上40歳以上65歳未満の医療保険加入者
保険料公的年金が年額18万円以上なら年金から天引き医療保険料に上乗せして徴収
受給要件原因を問わず要介護・要支援になった人特定疾病(16種類)が原因の場合に限る
自己負担原則1割(一定以上所得者は2割・3割)1割のみ
公的介護保険の第1号・第2号被保険者の違い
(対象・保険料・受給要件・自己負担で整理)
上の図・表のポイント

分かれ目は「65歳」です。65歳以上は原因を問わず使えますが、40〜64歳はがんや脳血管疾患など加齢が原因の16種類の特定疾病に限られます。つまり現役世代の事故やケガによる介護は、公的介護保険ではカバーされません。ここが民間の介護保険や就業不能保険を検討する意味が出てくるポイントです。

自己負担は何割?

介護サービスを使ったときの自己負担は原則1割です。ただし第1号被保険者で一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割になります。第2号被保険者は所得にかかわらず1割です。

また、1か月の自己負担には上限が設けられており(高額介護サービス費)、超えた分はあとから払い戻されます。一方で、施設に入ったときの食費・居住費は全額自己負担です。「介護保険があるから安心」ではなく、自己負担分は自分で準備しておく必要があります。

1級FPの視点|2割負担の対象拡大はどうなる?

現在、介護サービス利用者の9割超が1割負担です。2割負担の対象を広げる案(単身年収280万円以上という基準の引き下げ)が長く議論されていますが、これまで見送りが続いており、政府は2026年度末までに結論を出すとしています。将来的に負担が増える可能性はある、と踏まえたうえで老後資金を考えておくと安心です。

▼ 介護費用も含めた老後のお金の考え方はこちら

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ぎゅうた

「1割で使えるのはありがたいけど、食費や部屋代は別なんだね。そこは自分で貯めておかないと!」

どのくらいの状態から使える?要介護認定の区分

介護サービスを使うには、市町村に申請して要介護認定を受ける必要があります。認定は介護の程度に応じて、要支援が2段階、要介護が5段階の計7区分に分かれています。

区分が重くなるほど、1か月に使えるサービスの上限額(区分支給限度基準額)も大きくなります。逆にいえば、上限を超えて使った分は全額自己負担になります。

要介護認定の7区分(要支援1・2と要介護1〜5)を軽い順に並べた図解
スクロールできます
区分段階数状態のイメージ
要支援1・22段階日常生活はほぼ自分でできるが、一部に支援が必要
要介護1〜55段階数字が大きいほど介護の必要度が高い
要介護認定の区分
(要支援2段階+要介護5段階=計7区分)
上の図・表のポイント

認定は要支援1・2と要介護1〜5の計7区分で、右にいくほど介護度が重くなります。区分によって使えるサービスの上限額が決まるため、「認定が出れば何でも使い放題」ではありません。上限を超えた分は全額自己負担になる点を押さえておきましょう。

公的介護保険のよくある質問(FAQ)

保険料は何歳から、いつまで払いますか?

40歳になった月から生涯にわたって払い続けます。40歳以上65歳未満は医療保険料に上乗せして徴収され、65歳以降は市町村が徴収します(公的年金が年額18万円以上の人は年金から天引き)。

交通事故で介護が必要になった場合も使えますか?

65歳以上の第1号被保険者なら、原因を問わず認定を受けられるため利用できます。一方、40歳以上65歳未満の第2号被保険者は特定疾病が原因の場合に限られるため、交通事故が原因では給付を受けられません。

認定を受ければ、いくらでもサービスを使えますか?

使えません。在宅サービスには区分ごとに1か月の支給限度額があり、それを超えて使った分は全額自己負担になります。また、施設利用時の食費・居住費も全額自己負担です。なお、ケアプランの作成に自己負担はありません。

まとめ

  • 保険者は市町村(特別区を含む)。40歳になると全員が加入し、保険料の負担が始まる
  • 65歳以上は原因を問わず、40〜64歳は16種類の特定疾病が原因の場合のみ利用できる
  • 自己負担は原則1割(第1号の一定以上所得者は2割・3割)。認定は要支援2+要介護5の計7区分

公的介護保険は、介護が必要になったときの負担を大きくやわらげてくれる制度です。ただし「40〜64歳は特定疾病のみ」「食費・居住費は全額自己負担」といった穴もあります。まず公的制度でどこまで守られるかを知り、足りない部分を貯蓄や民間保険で補う——この順番で考えるのがおすすめです。


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