「産休に入ったら、お給料から毎月引かれている社会保険料はどうなるの?」
妊娠・出産を控えた会社員の方から、こんな質問をよくいただきます。
実は産休中は社会保険料が免除される制度があり、うまく活用することで、家計の負担をぐっと減らすことができます。
このページでは、FPの視点から、免除の条件・期間・手続きをわかりやすく解説します。
会社員・公務員は産休中、健康保険料と厚生年金保険料が免除されます。産前42日・産後56日が対象で、免除中も将来の年金は減りません。
- 産休中に社会保険料が免除される仕組み
- 免除される期間(産前産後)の計算方法
- 健康保険・厚生年金・介護保険の免除範囲
- 年金への影響と手続きの流れ
- よくある誤解と注意点
産休中の社会保険料はどうなる?
産前産後休業(産休)を取得している期間中は
健康保険料・厚生年金保険料が免除される制度があります。
この制度は健康保険法第159条・厚生年金保険法第81条の2に基づくもので、要件を満たせば申請によって免除を受けられます。
対象者は「会社員・公務員」
この免除制度が使えるのは、健康保険・厚生年金に加入している人、つまり会社員や公務員が対象です。
フリーランスや自営業など、国民健康保険・国民年金に加入している方は残念ながら対象外となります。
| 雇用形態 | 免除の対象 |
|---|---|
| 会社員 | ✅ 対象 |
| 公務員 | ✅ 対象 |
| フリーランス 自営業 | ❌ 対象外 |
| 専業主婦 | ❌ 対象外 |
社会保険全般の仕組みについては、保険カテゴリでも詳しく解説しています。
さやか (会社員・妊娠中)「産休中もお給料から引かれてるの?毎月けっこうな金額だし、育休中の生活費が心配で…」
さやかさんのように心配される方は多いです。
でも安心してください。
産休中は申請すれば社会保険料がゼロになります。
しかも免除されている期間は「保険料を払ったこと」と同じ扱いになるので、将来の年金が減るわけでもありません。
免除期間はいつからいつまで?
免除期間は、産前と産後に分かれています。
産前:出産予定日の42日前から
単胎妊娠(1人の場合)は出産予定日の42日前から、双子以上の多胎妊娠の場合は98日前から免除が始まります。
産後:出産翌日から56日後まで
出産日の翌日から数えて56日後までが産後の免除期間です。
FP講師直伝の語呂合わせ
FP試験の勉強で覚えたのがこちら。
「シーツ(42日)にゴロン(56日)」
産前42日は「シーツ」=4・2
産後56日は「ゴロン」=5・6。
出産前にシーツを敷いて
産後はゴロンと休む…
というイメージで覚えると忘れません!
出産が予定日より遅れた場合は?
出産が予定日より遅れた場合でも
産前の免除期間は予定日を基準に計算されます。
つまり、予定日より遅れた日数分は産前の免除期間に追加されます。
たとえば予定日より5日遅れて出産した場合、産前の免除期間は42日+5日=47日間となります。
どの保険料が免除される?
産休中に免除される社会保険料の種類は以下の通りです。


健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料の3つが免除対象です。本人負担分だけでなく、会社負担分もまとめて免除されます。雇用保険料は産休中の賃金支払いがないため、実質ゼロになるケースが多くなります。
会社負担分も免除される
見落とされがちなポイントですが、免除されるのは本人(従業員)が負担する分だけではありません。
会社が負担している分の保険料も、同様に免除されます。
これは会社側にとっても大きなメリットであり、産休取得を会社が歓迎する理由のひとつにもなっています。
免除中、年金はどうなる?
「保険料を払っていないのに、将来もらえる年金は減らないの?」と心配になる方も多いですが、ご安心ください。
産休中の免除期間は、厚生年金の「納付済み期間」として扱われます。
保険料を免除されていた期間も、払い続けていたのと同じ計算で将来の年金額に反映されます(日本年金機構公表情報による)。



「え、払ってないのに年金が減らないの?それって本当に大丈夫なの?」
はい、本当に大丈夫です。
これは国が法律で定めた制度であり、産前産後休業期間は「保険料を払い続けたもの」として年金額の計算に算入されます。
なお、育児休業(育休)についても同様の免除制度がありますが、期間の計算方法が異なります。
詳しくは保険カテゴリの関連記事でご説明します。




免除の手続きはどう進める?
「手続きが大変そう…」と思うかもしれませんが、基本的に自分で複雑な手続きをする必要はありません。


従業員がやることは「会社へ産休の届出」だけです。日本年金機構や健康保険組合への申請書類提出は、すべて会社(事業主)が代行してくれます。
従業員が会社に届出さえすれば、その後の申請書類の作成・提出・終了届まで一連の手続きは会社側で完結します。
必要書類は会社によって異なるため、事前に人事・総務担当に確認しておくとスムーズです。
手続きの流れ


手続きは「届出→申請→免除開始→終了届」の4ステップです。産休に入る前に会社へ届出をしておけば、あとは会社側で完結します。
申請は産休中でも産休終了後でも可能ですが
早めに会社へ届出をしておくとスムーズです。
気になることがあれば会社の担当者や社会保険労務士に相談しましょう。
免除制度で気をつけるべきポイントは?
国民健康保険には免除制度がない
フリーランス・自営業・個人事業主など、国民健康保険・国民年金に加入している方には、残念ながら産休中の保険料免除制度はありません。
これは現行制度の課題のひとつとして認識されており、制度改正の議論が続いています。
ご自身の加入保険を事前に確認しておきましょう。会社員と自営業の保険料負担の違いについては、保険カテゴリの比較記事でも解説しています。
育休の免除期間とは異なる
産休(産前産後休業)と育休(育児休業)は別々の制度であり、社会保険料の免除期間も異なります。
産休の免除が終わった後、育休を取得すれば引き続き育休の免除制度が適用されます。
ただし申請は別途必要です。
| 産休 (産前産後休業) | 育休 (育児休業) | |
|---|---|---|
| 免除期間の基準 | 出産予定日・出産日を基準 | 育休開始日〜終了日 |
| 最大期間 | 産前42日 +産後56日 | 原則子が1歳になるまで (最長2歳) |
| 申請 | 会社が申請 | 会社が申請 (別途手続き必要) |
▼育休中の社会保険料免除についてはこちら


産休中に退職した場合は?
産休中に退職すると、退職日以降は社会保険の資格を失うため保険料免除は終了し、国民健康保険・国民年金(または任意継続)への切替が必要です。
ただし、条件を満たせば出産手当金は退職後も継続支給される場合があります。
また、出産育児一時金は加入している保険から支給されます。
退職のタイミングで受給額が大きく変わるため、事前の確認が重要です。
よくある質問(FAQ)
- 産休中に退職したら、社会保険料の免除はどうなりますか?
-
退職日以降は社会保険の資格を失うため、免除も終了します。退職後は国民健康保険・国民年金(または任意継続)への切り替えが必要です。ただし、出産手当金は条件を満たせば退職後も継続支給される場合があります。
- 免除期間中、賞与(ボーナス)から引かれる社会保険料も免除されますか?
-
はい、産休期間中に支給される賞与にかかる健康保険料・厚生年金保険料も免除対象です。免除月に支給される賞与であれば、月額保険料と同様に免除されます。
- 双子を出産した場合、免除期間はどう変わりますか?
-
多胎妊娠の場合、産前の免除期間が42日前から「98日前」に拡大されます。産後の56日間は単胎と同じです。出産予定日の98日前から手続きの準備を進めましょう。
まとめ
- 産休中は健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料が免除される
- 対象は会社員・公務員。国民健康保険加入者は対象外
- 産前は出産予定日の42日前(多胎は98日前)から、産後は56日後まで
- 免除期間も年金の納付済み扱いになるため、将来の年金額は減らない
- 手続きは基本的に会社が行う。
自分がすることは産休の届出だけ - 育休の免除制度は期間・申請が別途必要
産休・育休は家計が大きく変わるタイミングです。社会保障や保険の仕組みは保険カテゴリでまとめて解説しています。あわせてご覧ください。
出典:日本年金機構「産前産後休業期間中の保険料免除制度」/健康保険法第159条/厚生年金保険法第81条の2







